ハマの人たちと。【ヒプマイ短編集】

2．甘えたい【左馬刻】 ページ4

【お前、今どこだ】



左馬刻の帰りを待って、事務所にお邪魔していたとき。



彼から、そう連絡が来た。



　【事務所】



…どうでもいいけど、メールとかのやりとりになると、

突然キャラが変わることってあるよね。



私も割とそうで、単語で返信をすることが多くなってしまう。



だからなのか、最初に連絡を交わすときは、

お前誰だ？と聞かれてしまうことも何度か。



　【悪ぃ、今日は帰れねぇわ】



　『…えっ』



いつ帰ってくるのかと待っていた時だったのに。



そんなことを言われ、思わず声を出してしまった。



　【何で？】



出ていくときは、帰るって言ってたのに。



でも、きっと仕方ないんだろう。



彼にそれをぶつけたところで、

そう簡単に変えられる予定ではないのだろう。



　【会合が入った】



やっぱ、ヤクザ関係…



…こんなこと言ったら、きっと迷惑だ。



分かってる、分かってるけど



一人は寂しくて



　【会いたい】



…既読はすぐにつくけれど



返事は、中々帰ってこない



あー、やっぱり私が馬鹿なんだよな



　【あ？】


　【お前、もっと聞き分け良かっただろ】



…そうか



いつもは、こんなこと言わないから



　『はぁ…』



やっぱり駄目かぁ、と諦め、ソファに身を投げ出す。



…うまくいかないなぁ



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仕方ないので、スマホでまっとりの曲を聴いていた。



声を聞けば聞くほど、会いたくなってくる。



家に帰ればいいのに、何でずっとここに居るんだろう。



…ここまで来たら、帰ってくるまで待ってようかと思う。



それがいつになるかは分からないけど。



　『…左馬刻』



こんなこと言ってる自分が気持ち悪い気がしてきた



依存するのは駄目だ、やっぱ帰ろう。



　「よぉ、呼んだか？」



あー、ついに幻聴まで…

とか思いつつ、なんとなく声のしたほうを見てみる。



　『えっ、え？あれっ、左馬刻…？』



何故だ。目の前には、確かに左馬刻が居る。



　「？ お前、何聴いて…」



私の耳にはまっていたイヤホンを奪うと、自身の耳に当てる。



…あっ



まあ…いいか



　「ハッ、こんなん聞くほど飢えてんのかよ」



　『…会合』



　「あ？んなもん断ってきたわ

　 会いたいつったのはお前だろ、A」



そう言うと、彼は私の頭を撫でてくれる。



　『…うん、ありがとう』



…たまには甘えてみるのも、ね

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