【理鶯2】 ページ28
「っ…頼む…目を覚ましてくれ…」
ベッドで眠る彼女の傍で、自身の拳を握りしめる。
これが後どの位続くのだろうか。
力を込めすぎたのか、爪が当たっているところには血が滲んでいた。
…そんなことはどうでもいい。
小官はここを離れるわけにはいかないのだ。
「…理鶯、貴方いい加減に休みなさい。
彼女のことなら私がみておきますから。」
「しかし…」
銃兎は小官を心配して言ってくれているのだろう。
だが、それを素直に聞き入れられるほどの余裕などなかった。
「駄目ですよ、隈ができてるじゃないですか。
この調子だと、貴方まで倒れてしまいます。」
「小官は…」
小官は、このくらいで倒れたりはしない。
そう言おうと、銃兎のほうを見ようとするが。
「反論は認めません。ほら、行きますよ。」
「っ、銃兎…」
腕を引かれ、半ば強制的に連れていかれる。
彼女は…
彼女はどうなる…?
A…っ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「…っ」
ふと、目を覚ます。
…いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
『…あ、起きた』
まだ少しぼんやりとした視界の中、
いつもの調子で、愛らしい声を発しながらこちらを見てくるAの姿。
ああ…彼女を想うあまり、幻を…
もしや、まだ夢を見ているのではなかろうか。
「…A」
そっと、彼女に向かって手を伸ばす。
きっと、触れることなど叶わないのだろう。
彼女は…まだ今も…
『ん?』
…柔らかい頬が、手に触れた。
…?
「…っ…!?」
その感触に、声にならない声を上げてしまうが、慌てて体を起こす。
幻では、ないのか…!?
『うわっ…びっくりした』
「A…!目が覚めたのか…!?」
『…うん。銃兎さんから聞いたよ。ずっと傍に居てくれた、って。
…ごめん、心配かけて』
微笑みながら、そう言ってくる彼女。
貴女が謝ることなど一つもない。
だが、今はそれ以上に気になることが多すぎて、
それを否定するよりも前に、言葉が溢れ出す。
「っ、大丈夫なのか?どこか痛むところは…!」
『大丈夫、大丈夫だよ。…ありがとう』
畳み掛けるように心配をする小官に、
少し戸惑うような顔を見せつつも、落ち着かせるように背中を撫でてくれる。
…何故小官が慰められているのだろう…
「…済まない」
…もっと、彼女を支えられるようにならなければ。
彼女が頼れるような男にならなければ。
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百面相(プロフ) - 0077さん» 了解しました!ネタ切れ&スランプだったので有難いです! (2019年3月21日 12時) (レス) id: 94aa678148 (このIDを非表示/違反報告)
0077 - リク応えてくれてありがとうございます!!めっちゃよかったです!!次のリクいいですか?ふと悲しいことを思い出して泣いてしまった。でお願いします!! (2019年3月20日 16時) (レス) id: 7491c8000a (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - 0077さん» 有り難うございます!書き途中のものを仕上げ次第、投稿していきますね! (2019年3月10日 12時) (レス) id: 94aa678148 (このIDを非表示/違反報告)
0077 - 初リク失礼します!!誘拐されて顔に大きな傷をつけられたら。 でお願いします!!更新頑張ってください!! (2019年3月9日 18時) (レス) id: 7491c8000a (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - 苺大福さん» いえいえ、こちらこそ見てくださって有り難うございます!残る二人も、順次公開していきますね! (2019年3月6日 21時) (レス) id: 06af4ddcfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百面相 | 作成日時:2019年1月14日 17時