【銃兎2】 ページ26
…仕事が手につかない。
当然だ、何よりも守らなくてはいけなかった筈の彼女を、自身で…。
だが、俺が居ることで、アイツに恐怖を与えてしまってはいけない。
そんな思いから、
アイツが取り敢えず一命をとりとめたことを確認してからは、
何事もなかったかのように職場へと来ていた。
そんなとき、俺の私用携帯に一本の電話。
そこに表示された文字を見て、慌てて手に取る。
「っ…!ええ、彼女が…
分かりました、すぐにそちらに…!」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「っ…失礼、します」
病室の扉を軽くノックして、中に入る。
そこには、ベッドに横になっているAと、
彼女の様子を見るように頼んでいた理鶯の姿。
「む、来たか。…A、銃兎が来てくれたぞ。」
『じゅう、と…』
自身の名を呼ぶ彼女の声に、心が締め付けられる。
「…やはり彼女の傍にいるべきはお前だ。」
俺を気遣ってか、理鶯は部屋を出るために立ち上がり、
俺とすれ違うときにそう言ってきた。
「ええ…有難うございます…」
部屋を出ていく理鶯と入れ替わるようにして、
彼女のベッドの傍に置いてある椅子に腰を掛ける。
「Aさん…」
まだ本調子を取り戻していない様子で薄く笑う彼女に、
どう声をかけていいか分からず、柄にもなく口ごもってしまう。
『…ごめんね、銃兎…仕事、だったのに』
彼女は、少し掠れた声で弱々しく言ってくる。
お前が謝ることなんて一つもないのに。
「…すみません。本当に…申し訳ない。」
『え、銃兎…』
彼女は、頭を垂れる俺に、少し慌てた様子を見せるが。
俺が何をしたのかくらいは分かっているらしく、
伸ばしかけていた手を引いたのが視界の端に映った。
「…手を上げた、俺が怖いか?
…言い辛いとは思うが、何か思うところがあるなら言ってくれ。」
『銃兎は…罪に問われるの?殺人未遂、とか…』
不安そうな目で、こちらを見ながら聞いてくる。
…その不安は、何からきているものだろうか。
「…私は、その手の処理には慣れているので…
…しかし、貴女の要望とあれば…」
『や、そうじゃ…なくて』
私の言葉を慌てて遮ると、彼女は言葉を続ける。
『…傍に、居てほしい、から』
「っ…!」
許してくれ、なんて言わないつもりだった。
取り返せるようなことではないと、思っていたから。
…でも、こいつは。
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百面相(プロフ) - 0077さん» 了解しました!ネタ切れ&スランプだったので有難いです! (2019年3月21日 12時) (レス) id: 94aa678148 (このIDを非表示/違反報告)
0077 - リク応えてくれてありがとうございます!!めっちゃよかったです!!次のリクいいですか?ふと悲しいことを思い出して泣いてしまった。でお願いします!! (2019年3月20日 16時) (レス) id: 7491c8000a (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - 0077さん» 有り難うございます!書き途中のものを仕上げ次第、投稿していきますね! (2019年3月10日 12時) (レス) id: 94aa678148 (このIDを非表示/違反報告)
0077 - 初リク失礼します!!誘拐されて顔に大きな傷をつけられたら。 でお願いします!!更新頑張ってください!! (2019年3月9日 18時) (レス) id: 7491c8000a (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - 苺大福さん» いえいえ、こちらこそ見てくださって有り難うございます!残る二人も、順次公開していきますね! (2019年3月6日 21時) (レス) id: 06af4ddcfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百面相 | 作成日時:2019年1月14日 17時