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【銃兎】 ページ18

ガチャッ



玄関が開く音がして、そちらに走っていく。



 『おかえり!じゅう…と…。…うわぁ』



 「何で居るんですか貴女…。驚かさないでくださいよ」



…銃兎には黙って、勝手にここに来た。



というのも、とあるヤクザの協力を借りて。



それは勿論、今日がバレンタインだから、ということなのだが。



ようやく帰ってきたかと思えば、

彼の手に提げられた袋の中には、

可愛らしくラッピングをされた箱の数々。



…見なきゃよかった、なんて後悔。



あーもう、こんなの知ってしまうくらいなら、

大人しくしていればよかったかな。



 「ああ…貴女も食べます?職場に届いていたんですけど…

  嫌いというわけではありませんが、甘ったるいものは少々…」



そう思って、私は甘さ控えめのだよ。褒めて。



…なんて、この量を見た後に、自分のを渡そうとは思えないかな…



それでも、強欲なつもりはないけど、

それでも受け取ってほしい、とは思う。



 『銃兎が食べたほうが、渡した人は喜ぶよ』



 「いえまあ…そうかもしれませんが。

  誰が食べたかなんて、分からないじゃないですか。」



…確かに、銃兎はそういう人だったな。



優しいのか、酷いのか、よく分からない。



そんなの、私があげたとしても、

彼が食べるかは分からないじゃないってことになるじゃないか。



 「…で、貴女は何の用ですか?」



ソファに腰を掛けながら、私のほうに目をやってくる。



まあ、わざわざここまで来たのに、

何でもないなんていう誤魔化しは通用しないだろう。



仕方ないか、当たって砕けろ。



 『…バレンタイン』



 「え、あぁ…。珍しいですね、貴女が…。」



ここで渡すのも、申し訳ないかと思うけど。



引き下がるのも、意に反するから。



 『…私も、あるんだよ。』



 「…何ですか、その顔。貴女のなら、喜んで食べますよ。」



少しだけ呆れたように笑いかけながら、私の頭を撫でてくれる。



そっと箱を差し出すと、

私が先程の発言を気にしていると思ったのか、

私の目の前で食べてくれる彼に、自然に表情が緩んだ。

【理鶯】→←8.バレンタイン【左馬刻】



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百面相(プロフ) - 0077さん» 了解しました!ネタ切れ&スランプだったので有難いです! (2019年3月21日 12時) (レス) id: 94aa678148 (このIDを非表示/違反報告)
0077 - リク応えてくれてありがとうございます!!めっちゃよかったです!!次のリクいいですか?ふと悲しいことを思い出して泣いてしまった。でお願いします!! (2019年3月20日 16時) (レス) id: 7491c8000a (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - 0077さん» 有り難うございます!書き途中のものを仕上げ次第、投稿していきますね! (2019年3月10日 12時) (レス) id: 94aa678148 (このIDを非表示/違反報告)
0077 - 初リク失礼します!!誘拐されて顔に大きな傷をつけられたら。 でお願いします!!更新頑張ってください!! (2019年3月9日 18時) (レス) id: 7491c8000a (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - 苺大福さん» いえいえ、こちらこそ見てくださって有り難うございます!残る二人も、順次公開していきますね! (2019年3月6日 21時) (レス) id: 06af4ddcfe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:百面相 | 作成日時:2019年1月14日 17時

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