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【理鶯】 ページ12

『雪だ…!』



外を見てみれば、森に雪が積もっている、

幻想的ともいえる世界が広がっていた。



Aはそれを見て、感嘆の声を漏らしていた。



 「少し出てみるか?

  ……あ、すまない。アレルギーがあったな、忘れてくれ」



以前Aから聞いていたことを思い出し、

理鶯は何も考えずに誘ってしまった自身を後悔する。



しかし、それを一切気に留めない様子で、彼女は笑いかけてくる。



 『あまり触らなければ大丈夫だよ!行こう!』



 「…そうだな。小官がついている、何も心配することなどない」



こんなことを言わなくても、

Aはもとより心配などしていないのだろう。



 『当たり前じゃん、理鶯が居なかったらこんなことできないよ』



だからありがとう、と楽しそうに言う彼女。



体の大きさは比べるまでもないのに、

その精神力はどちらが上だなんて一概には言えない。



自身の手を引いて外に出たがるAを可愛らしいと思いつつも、

その精神力がどこからくるものなのか、

自分とは何が違うのか、そんな疑問を胸の内に抱いていた。



 『…こういうのを、白銀の世界、っていうんだよね』



理鶯よりも先に外に出た彼女は、

楽しそうな声色とは裏腹に、少々切なげな表情をしていた。



無理もない、どれだけこの景色が綺麗でも、

アレルギーの発症を恐れ、触れることなどできないのだから。



理鶯も、当然すぐにそれに気が付き、

何を思ったのか足元の雪を掬う。



 「A」



 『ん?』



少しして、理鶯が名を呼ぶと、Aは彼の方を向く。



と、彼が手を差し出す。



 『え、可愛い…!』



その手の上には、可愛らしい雪兎が乗っていた。



それを見たAの表情も、思わず明るくなる。



 「ふ…あまり触ることもできないだろう?これで我慢してくれ」



 『うん…!ありがとう…!』



笑みを浮かべるAに、理鶯も微笑みを返す。


素直に喜ぶ彼女が、雪にはしゃぐ子どものように可愛らしくて。

6.停電【M.T.C】→←【銃兎】



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百面相(プロフ) - 0077さん» 了解しました!ネタ切れ&スランプだったので有難いです! (2019年3月21日 12時) (レス) id: 94aa678148 (このIDを非表示/違反報告)
0077 - リク応えてくれてありがとうございます!!めっちゃよかったです!!次のリクいいですか?ふと悲しいことを思い出して泣いてしまった。でお願いします!! (2019年3月20日 16時) (レス) id: 7491c8000a (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - 0077さん» 有り難うございます!書き途中のものを仕上げ次第、投稿していきますね! (2019年3月10日 12時) (レス) id: 94aa678148 (このIDを非表示/違反報告)
0077 - 初リク失礼します!!誘拐されて顔に大きな傷をつけられたら。 でお願いします!!更新頑張ってください!! (2019年3月9日 18時) (レス) id: 7491c8000a (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - 苺大福さん» いえいえ、こちらこそ見てくださって有り難うございます!残る二人も、順次公開していきますね! (2019年3月6日 21時) (レス) id: 06af4ddcfe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:百面相 | 作成日時:2019年1月14日 17時

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