〝平和〟が一番似合わない町【名探偵コナン】 (ページ4)

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ㅤ翌日の夕方。
ㅤ吹奏楽部の休日練習を終え、部活の友達三人と帰路に就いていたとき、元気系の女子がふと口を開いた。

「そう言えばね、さっき野球部の男子から聞いたんだけど、なんだっけ……少し前に出来た何とかランドで事件起きたらしいよ。」
「何とかランド？」
「………もしかして、トロピカルランドのこと？」
「そうそう、それ！」

ㅤまさか、と思って口にしたことが当たっていることなんてよくある。そうであって欲しくない、と思って言ったことが当たっていることなんてよくある。

「それ、どんな事件なの？」

ㅤ毛利と工藤が巻き込まれていないことを願いつつ、野球部の男子に聞いたと言う子に訊ねる。彼女は少し考えた後、「うろ覚えなんだけど」と前置きをしてから詳細を教えてくれた。

ㅤジャンルは殺人。ジェットコースターに乗っていた男性が、突如首を吹っ飛ばされたらしい。犯人は未だ分からずのまま。

ㅤそこまで話すと、その子は何かを思い出したように声を上げた。もうひとりの大人しめの女子が首を傾げる。

「どうしたの？」
「思い出した！あのね、その事件が起きたジェットコースターにね、なんと………我ら帝丹高校の誇る名探偵、工藤新一君が乗り合わせてたらしいの！」

ㅤ彼女のその言葉に、大人しめの子は「おぉ！」と歓声を上げる。そんな彼女とは対照的に、私は心臓を鷲掴みされたような気分だった。事件に巻き込まれていないように、という私の願いは呆気なく砕かれたのだ。

「まさか、工藤達容疑者にされてるんじゃ……」
「それは大丈夫だと思うよ！だって、容疑者側って言うよりかは、警察側って感じだったらしいもん。」
「きっと、工藤君の探偵心がくすぐられたんだね。案外、もう犯人の目星ついてたりして。」

ㅤ話を聞く限り、工藤は常時運転らしいので心配は要らないようだ。毛利も……工藤がいるから大丈夫だろう。ひとまず安心出来るような状況みたいなのでホッと息をつく。

「っていうか、野球部の誰から聞いたの？それ。」
「川岸。」
「あー……川岸君かぁ。」
「今思ったんだけど、川岸はどうやってその情報得たの？野球部って今日練習あったよね？」
「確かに！どうやってたの？」
「えっとね……携帯。」

ㅤ………あの野郎。

「あっ、真面目で秀才な生徒会長がお怒りだ。」
「Aちゃん。そんな親の仇を見付けたみたいな顔しないで。」
「……ちょっと、川岸にどうやって持ち込んだか訊いて来る。」
「…………嘘。」