【文スト】鳥籠と番外編 (ページ5)

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初めてのバレンタインページ5

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「今日が、ばれんたいん……？」

「なんじゃ、知らなかったのかえ？」

所詮女子会と呼ばれるものを開いた今日、尾崎、A、エリスの三人はバレンタインの話題で盛り上がっていた

しかし実際はAが一方的に話しかけられているような状態に等しかった

「本でしか読んだことなくて…」

「リンタロウの馬鹿！！」

本人が居ない時に云ってもどうにもならない気がするのだが………まぁ、今は一旦置いておこう

小首を傾げるAを他所に二人は、様々な場所に電話をかけ始めた
時折、二人の怒号に近い何かが聞こえてくることもあった

しかしAには、何故そこまで大袈裟に騒ぐ必要があるのか分からなかった
すると、電話をかけ終えた二人がジリジリと近づいてきた

「ふ、二人共………？」

「さぁA…？」

「チョコレートを作りに行きましょう…？」

「ひえぇ……」

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太宰と中原の間に流れる恐ろしい程の沈黙。

向かい合う二人の両手には、溢れんばかりのチョコレイトの入った紙袋が抱えられていた

睨み合っていた二人だったが、太宰が先に口を開いた

「43。中也は？」

「……チッ、42」

「どうやら今年も私の勝ちのようだね」

「あ"ぁ"クソっ！なんで勝てねぇんだよ！！」

そう、これは毎年の恒例行事であり、どちらが多くチョコを貰えたのかを比べているのだ

二人にしてみればただの遊戯でしかないが、勇気を出してチョコレートを渡した女性側からしてみれば大変失礼な話である

悔しがっている中原をニヤニヤといやらしい笑みで見下ろしていた太宰だったが、二人に声をかける者がいた

「あっ、太宰ー！中也ー！」

「A？」

大事そうに何かを抱えながら駆け寄ってきたA
ビル内を散々走り回ったのだろうか？額に少し汗を滲ませ、荒い呼吸を繰り返している

宥めるように背をさすってやれば呼吸を整えた後、ヘニャりと笑いその手の中にある物を差し出した

「はいっ！」

「これは……チョコレート？」

「うん！今日はバレンタインって聞いたから、大好きな二人に！」

「大好き」という言葉が廊下内で反響し二人の思考を停止させて行く
しかし、Aは何とも思っていないのかけろりとしている

その言葉の破壊力のあまり二人が固まっているのを他所に、Aは次の相手へとチョコレートを届けに行ってしまった

数分後廊下で身悶えしている双黒の姿が目撃されたとかなんとか＿＿