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麗らかな日差しを浴びながら縁側に座る二人。
茶を飲んだことにより大分落ち着いたのか、男は自身の帽子を被る白猫を膝に乗せ撫でていた
一方隣に座るAは緑茶を啜りながら、ヨコハマの街を見下ろしていた
穏やかな時間が流れていたその時、男が口を開いた
「………なぁ」
「なんじゃ?」
「……お前、どっかで会ったことねぇか?」
「なんじゃ藪から棒に……少なくとも私に覚えは無いな」
「……そうか」
Aの受け答えを聞きどこか残念そうに目を伏せた男。
そんな男の様子を横目で見たAは不思議に思いながらも、追求することは無かった
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空が赤く染まり、カラスが山へと帰る頃がやってきた
不思議なことに男、基 "中原中也" は休日だからと縁側から動くことなく、あれからずっとAと話をしていた
よく退屈しないものだなと思いつつも、AはAでこの時間を少し楽しんでいた
「もう日が暮れる、主も早う帰るがいい」
「……嗚呼、そうだな」
名残惜しそうに、何処か寂しそうに中原は福をクシャりと撫で、腰を上げた
毛を払い落とした帽子を手渡してやれば、心底嬉しそうに笑い礼の言葉を述べた
「……なぁ!!」
境内を半分程行った辺りで中原は振り返り、Aに呼びかけた
「また、逢いに来ても良いか!!?」
叫んだ言葉が恥ずかしかったのか、夕陽のせいなのか……中原の頬は赤く染まっていた
そんな様子を見たAはフッと笑みを零し、こう返した
「嗚呼、またいつでも来るといい」
大きな声では無かったが、その言葉はしっかりと中原の耳に届いていた
人の子と話すのも、偶になら悪くは無いな
燃えるような夕陽がやけに眩しく感じた
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レイ(プロフ) - ReiLeiさん» コメントありがとうございます!更新速度は蛞蝓以下ですが、これからもどうぞお付き合い下さい!! (2018年12月22日 22時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
ReiLei(プロフ) - 良き!!!!! (2018年12月16日 3時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 海月猫さん» コメントありがとうございます!これからもよりよい作品を目指して、頑張ります!! (2018年12月10日 23時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
海月猫(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年12月10日 22時) (レス) id: db1e8d80c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2018年11月6日 23時