He's Very

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エレベーター長くない！？
まだ着かないの！？





1人焦るわたしと








「そしたら来週調整しなきゃなー」







余裕な川上先輩。







ポケットから取り出したiPhoneをいじり始める川上先輩だけど、距離は近いまま。





恐る恐る川上先輩を見れば、わたしなんか全然見てなくて。




iPhoneいじってるから当たり前なんだけど、でも。
1人で焦ってるのがなんだか馬鹿らしくなって、少しだけ冷静になれたりして。








「も、もう着きますよ」




「え？あー、ほんとだ」






エレベーターの扉が開くまであと少し。




そう思って川上先輩から離れようとした瞬間、








「あ、Aちゃん」





「え、」





「ここ、ちょっと髪はねてる」




「！」






わたしの髪を軽く直してくれて。





驚くわたしに






「あ、着いた
行こ」






川上先輩がふわり、笑う。






何事もなかったかのように、颯爽とエレベーターを降りていく川上先輩と。





少しだけ俯きがちに後を追いかけるわたし。






ほんの一瞬、触れられただけ。
ほんの一瞬、笑ってくれただけ。





それだけ、なのに。








「あ、そういえば資料終わった？
一応昨日ヒロに伝言頼んだんだけど」






「終わりました、」





「ん、ありがと
確認しとく」







川上先輩の顔をちゃんと見れなくて。






些細な会話に答えるのが精一杯だった。











＊







「来週の会食行くんだって？」





「………それやっぱり確定事項なんですか…？」







ミーティング終わり。
川上先輩と磯部先輩が何か話してたのは見てた。
そのあと磯部先輩が驚いたあと、楽しそうに笑ったのも見てた。



何だろう、なんて。
呑気に思ってたけど、わたしのことだった…？






てか会食の話、本当に連れて行くつもりなのかな…？
でも磯部先輩にも話すってことはやっぱり…？








「ふは、すごい嫌な顔してる」





「だって、そんな、大事な取引先との会食なんて…
荷が重すぎます…」





「あー、まあ、でも
大事じゃない取引先なんてないし
経験しないと得られないものもあるよ？」






「……それはそうですけど…」






「何、その顔」





「……磯部先輩珍しくまともなこと言ってるなあ、って…」





「ふはっ、
前から思ってたけどAちゃん
ナチュラルに俺のこと見下してない？」





「見下してませんよ！」








…少しだけしか。






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