He's Very

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「ん？あー…」






わたしの問いかけに言葉を濁した後、にっこり笑って







「俺疲れたから少し席外すわ
あとは本人に聞いてみなよ」






なんて席を立つ。







「え？磯部先輩？」





戸惑うわたしに






「ねえ、さっきの本当にわかったの？」





少しだけ冷たい声。







「ひっ、川上先輩！！」





「いや、"ひっ"じゃなくて」






怖い怖い怖い。
え、待って何でまた磯部先輩の席に座るの。







「説明足りなかった？
だからヒロに聞いたの？」






…あれ？
怒ってない…？





冷たく聞こえたはずの川上先輩の声は少しだけ柔らかくなって。
怖いと思ってたはずの顔も、どことなく悲しそうに見えたり。








「え、と、磯部先輩に聞いたのは…」





「うん？」






…いやいや、待って。
川上先輩笑ってくれたけど機嫌良いのかな？っていう雑談です！、なんて言えるわけない。





やばい。どうしよう。








「Aちゃん？
怒んないから言って？」






固まるわたしに優しい川上先輩の声。






…やっぱり変だよ。








「あ、の、」





「うん」





「…川上先輩がさっき笑ってくれたので…
今日機嫌良いのかな、って話してたんです…
すみません…」






ぽつり、そう呟いたあと、
ストレートに言い過ぎたことに気付いて






「あ、あの、！」






弁解しようと口を開いた瞬間、







「Aちゃん、俺のこと怖がってるでしょ？」






また川上先輩が悲しそうな顔をする。







「え、あのっ、えーっと、」





「ふは、否定しないとか素直すぎでしょ」







返答に困るわたしを軽く笑ったあと、






「俺どうしても仕事中ってピリピリしがちで
それは相手がAちゃんだから、ってわけじゃないけど
でもそういうの良くないなって思ってて」





ゆっくり話し始める。






「やっぱり責任感もあるし、
Aちゃんの先輩としてちゃんとかっこよくいたいってのもあって」






「…」






「でもそれを理由として怖がらせるのは違うなとかいろいろ考えてて…
かと言って、いきなりヘラヘラするのもなんか違うし
少しずつ、って思ってたけど…
やっぱりおかしかった？」






気まずそうに、恥ずかしそうに、川上先輩が笑う。







「…少しだけびっくりしました、」






「ふは、やっぱり」






川上先輩が優しく笑ってくれるから。
わたしも少しだけ素直に言えたりして。








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