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1階まで降りて誰もいない自分のクラスの教室に入ると涙が溢れ出す
走ったから息が苦しい
でも、涙も止まらない
『なんで、なんで会っちゃうの…』
久しぶりに見た海は仲良かったあの頃よりも背が伸びて大人になっていた
『ごめ、…ごめんなさいっ…』
あの頃の海を思い出すと同時に先ほども思い出したとある過去の出来事が頭の中をグルグルと流れ出す
もしまたあの時と同じようなことが起こったら、そう思うと怖くてたまらない
未だ落ち着かない呼吸と震える体を落ち着かせるために私は自分を抱きしめうずくまった
どれぐらいの時間そうしていたか分からないけれどもやっと涙が止まった頃
[A?こんなとこで何してんの?]
上から聞きなれた声が聞こえてきてぱっと上を向く
『柊生っ…!』
そこには体育着姿で少し息を切らした柊生がいた
[決勝戦もうすぐ終わって閉会式なのにAいないから探しに来たらこんなとこでうずくまってるし]
隣に来て目線を合わせるかのようにしゃがみ頭を撫でてくれる
[何かあったのか?]
優しく聞いてくれた柊生に私は先程あった出来事を話す
私の名前を過去を知っている柊生は苦々しい顔をしながら
[そうか。海に会っちまったのか]
と呟いた
『海だけじゃなくて女の子3人も一緒にいたから、もし海と私の関係が知られたらっ…!』
止まったはずの涙がまたじわりと出てきて目が熱くなってくる
[その女子って誰がいたか覚えてる?]
『えっと…××さんと××さんと××さんだと思うけど…』
[そっかそっか。あとは俺が何とかしてやるからな]
そう言って優しい顔で私をあやす柊生はお兄ちゃんみたいだ
なんとかするってなにをするつもりなんだろう?わからないけれども、その言葉に少し安心した
腫れてしまった目はどうしようもないけれども、涙も止まり心も落ち着いた頃
[よし。閉会式始まるから戻るぞ]
差し伸べられた手を掴んで立ち上がる
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作者名:蓮華 | 作成日時:2021年2月7日 17時