噂のマツコちゃん。 ページ8
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「亮くんはさ、1つ上の松永先輩って知ってる？」
「松永？」
「松永Aさん」
中学を卒業して高校生になるまでの約3週間、俺は入学予定の高校でひと足早く部活に参加させてもらっていた。
「ああ、知っとるよ？ 家族ぐるみで仲良いし」
俺だけじゃなく入部予定の同級生がちらほらいる中で、最初に仲良くなったのは隣町に住む夢丸ってやつだった。特に中距離に強いらしい。
「生まれた時から一緒だし、家族みたいなもんかな」
「まじで？」
「マジ」
「めっちゃ羨ましい。あの可愛い先輩と幼なじみなの？」
夢丸は大きな目を丸くした。
可愛い、か……
申し訳ないけど考えたこともなかった。
このくらいの年代になると異性の善し悪しを話すことは多い。俺にも好きな子がいて、恋バナをして変に盛り上がりもする。
でもAがその話題の中心に、しかも自分がいる時に上がるのは初めてだった。
「あれだよ、亮くんは知らなそうけど、先輩達もマツコ先輩は可愛いって言ってたよ」
「へえー……。よく分からん」
「そっかあ」
意外に盛り上がらなくてAの話はこれで終わった。そのままお互いトレーニングに励む。
でもこの瞬間からAに対する目が少し変わった。変わったというか、Aを見る時間が増えた。どういう所が可愛いと言われるのだろう、と。
選手1人ひとりの記録を計測する真剣な目。お疲れ様、とタオルを渡す時の優しい笑顔。先輩、Aにとっての同期と今話題のドラマの話をする楽しそうな声。
観察すればするほど夢丸の言う通りに見えてくる。
『亮、集中切れてるよ！』
「あ、はい！」
『もう、何で敬語使うん？ いつも通りでいいやん！』
「でも先輩と顧問に目を付けられたら……」
『そこは私が話付けとくから！ ねっ？』
発破をかけたと思ったら、ニーっとイタズラっ子のような笑顔を見せるところ。
……可愛いか。今まで気づかなかっただけで、言われてみればそうかもしれん。
『あ、午後から暇？』
「うん」
『お昼一緒に食べに行かん？』
「いいよ。俺も誘おうかなって思っとった」
『さすが！』
ラーメンね、と腹筋を繰り返す俺の頭にポン、と一瞬だけ手を置いて、Aは先輩の元へ駆けて行った。
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あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます！ これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (
レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです！面白すぎます！頑張って下さい！続き楽しみに待ってます！！！！！！！ (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2019年5月14日 22時
