バレちゃった。 ページ28
in 2012
2月中旬、1年前に卒業した高校の校門をくぐる。今日は在校生ではなく卒業生としてだ。
固くならずとも清楚な服装をして、軽くメイクをした。両手には部員への差し入れと今日卒業した3年生への手紙を抱えた。
『卒業生の松永です。入校許可証を貰いたいのですが……』
目的地へ向かう前に事務室へ立ち寄る。許可証を無事に頂いて首からぶら下げた。
陸上部の部室まで、校内を闊歩しながら思い出に浸る。自分の時はまだ受験が終わっていなくて、心から卒業に浸ることができなかった。
式が終わったその日から学校で勉強をしていた。翌日からも制服を着ていた。入試本番も、後期試験の対策をしていた時も。きっと私はこの学年の中で制服に袖を通した期間が長い。
人によっては最後のホームルームを終え、部活に挨拶しに来ているはずだ。部室に到着する。トントン、とドアを叩く。
『こんにちは!』
顔を見せると、中には何人かの卒業生が晴れやかな笑顔を見せてくれた。
「マツコさん! 今日来れたんですか!?」
「珍しっ」
その中には徹也くんと夢丸くんがいる。
『うん。今日は暇な日だったから』
「マツコさんにも暇な日あるんすねえ……」
『暇がないと壊れちゃうだら?』
バイト、勉強日、大学の友人との予定、サークルなど、様々な予定が立て込む関係で、私は高校や部活の集まりにあまり参加できていない。個人でなら会えるものの、集団での食事会は1回しか行っていないのではないか。
『明日は休みだけど勉強したいし』
「真面目ですね……」
『春休みも課題あるからさ……。早めに潰したいの』
長い春休みの真っ只中だけど何かと忙しい。現状はそんな感じだ。
「大学、忙しそうっすねえ……」
『でもすっごく楽しいよ!』
勉強はつらい。でも人に恵まれて楽しい日々を過ごせている。夏のプールに冬のスキーはサークル仲間と泊まりがけの旅行をした。近場でも楽しかった。
『徹也くん達私立だら?』
「そうっす!」
『じゃあこれからは自由やん!』
私立や推薦で受かった子達は明日から本当の意味で自由になれる。早ければ今から髪の毛を染めに行く子もいるだろう。
『てことで徹也くん、夢丸くん、卒業おめでとう』
袋の中から差し入れを取り出す。ありがとうございます、と2人は喜んでくれた。
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あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます! これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです!面白すぎます!頑張って下さい!続き楽しみに待ってます!!!!!!! (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年5月14日 22時