もう少し。 ページ27
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『亮……』
「ん?」
『疲れてないの……?』
晩朝2回コースを頼まれたつもりが、結局朝までコースになってしまった。それもこれもAが誘惑するから悪い。どうしても歯止めが効かなくなって次を、また次を求めてしまう。
本人はぐったりしているものの、俺はあと1回か2回は余裕で。
「まだやれる。お世話してくれるの?」
『元気だなあ……』
早朝3時。やれるとは言いつつも事後の眠気が襲う。下着だけを着てAを抱き枕にし、掛け布団を被る。
『亮暖かいね』
「心が優しいから」
『優しい……?』
「疑問を抱かんで!」
付き合い初めて体を許すようになってから、Aは俺を人間湯たんぽなんて表現する。人よりも体温が少し高いのと、Aが冷え性なのと。とにかく温かくて眠気を誘うらしい。
『ねえ亮』
「ん?」
『大好きだよ……』
何度聞いても不意打ちの愛に慣れない。付き合って長い時間が経とうとも、嬉しいものは嬉しくて胸が弾む。
「俺も大好きだよ」
どこからともなく口付けを交わす。
「Aまだ寝らんで、もうちょっと起きようよ」
『やだあ! もう寝るの……』
気づけばAの方が眠りそうだ。背中を向け、寝る準備は万端だ。
「ねえA〜」
『おやすみ。起きたら、また、ね?』
諭されて何も言えない俺はうん、と頷いて大人しくAの体に腕を巻き付けた。朝、もしくは昼にやってくるであろうその時を楽しみにして。
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長く付き合っていれば上手くいかない時だって当然ある。
付き合い始めがそうだったし俺が大学生、Aが社会人になった時もなかなか会えず、互いに不満と申し訳なさを溜め込んでダメになりそうだった。
その度に周りが心配した。いよいよ別れるんじゃないか、と波風が立った。でも俺はその度にAに対して無我夢中でぶつかった。
“A、もっと俺に当たっていいんだよ……?
1人で無理して潰れようとしないでよ。もっと頼ってよ”
1歳しか変わらない。でも年下。Aの葛藤を支えられるような、超えられるような自分でありたい。昔からそう思っている。
俺らは幼い頃からは想像もできないような付き合い方をしている。ここまで長ければゴールインの相手も決まったも同然だ。
絶対に家族にするから。もう少し、もう少しだけ待ってて?
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あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます! これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです!面白すぎます!頑張って下さい!続き楽しみに待ってます!!!!!!! (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年5月14日 22時