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20分後、無事に寿司が届きました。でも寿司なんてそっちのけです。お弁当がいかがなものか、気になって仕方がありません。
「皆さんりょうくんがお弁当を持ってきました」
「何? 撮ってたの?」
黒のランチ用トートバッグから大きめの1段ランチボックスが出てきました。
「これは撮らんといかんだろ! 誰が作ったんだ!」
実はりょうくん、自分に交際相手がいることを公に発信していません。時々彼女がいるような発言こそしているものの、数少ない女性ファンに気を使ってはっきりと言い切っていないのです。
「彼女、だよ?」
照れながらも嬉しそうな彼女というワードに何人が撃ち抜かれたでしょう。
「遂に認めたなあ!」
「お前彼女おったんか!」
「としみつも知ってるでしょ! 相手中学高校の先輩なんだから!」
「……まあな」
ばか可愛い先輩。ポツリととしみつもAが可愛いことを認めましたね。てつやが一目惚れしかけたとの噂もある、彼らの1つ上で僕と同い歳の女の子。
「このお弁当はね、りょうくんの彼女の手作りなんですよ」
「毎日作ってくれるんだよ? 彼女すごくない?」
いつもありがとう、と満面の笑みで手を振るりょうくん。男の僕でも惚れてしまいそうです。
「寿司が霞んで見える……」
「まだ開けとらんからな、開封動画ですよ」
「弁当の開封動画って何?」
弄られながらもりょうくんの頬が引き締まることはありません。
「早く開けろよ! もったいぶるな!」
としみつが騒いでりょうくんが分かったよ、と苦笑いをする。いよいよAが作ったという手作りの弁当が開きます。蓋を開けてみると……、
「え? 嘘でしょ……?」
りょうくんから笑顔が消えました。それもそのはず、中に詰まっていたのは1面真っ白なご飯の真ん中に梅干しが1つ。いわゆる“日の丸弁当”だったのです。
「マツコさんやりやがった!」
「ふははは! 俺らは美味しい寿司を食おうぜ!」
にわかに元気づいたてつとしとは対照的に、りょうくんはショックを隠しきれません。
「待って、俺Aのこと怒らせた……?」
心から動揺しているりょうくんは呆然として、目の前の日の丸弁当を見つめています。
「りょうもやらかすんだな!」
すっかり元気を取り戻した2人はりょうくんを煽りまくっています。
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あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます! これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです!面白すぎます!頑張って下さい!続き楽しみに待ってます!!!!!!! (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年5月14日 22時