検索窓
今日:5 hit、昨日:25 hit、合計:190,737 hit

ページ21

.


1粒の涙が頬を掠める。Aの目は少しずつ赤くなって、1粒、また1粒と大粒の涙を流す。



「ほんと馬鹿。何で今さら歳なんて気にしてるの?」


『……っ、だって、っ』


しゃくりあげて泣いているAは子供みたいだ。



「1歳しか変わらんやん。A童顔だし制服脱いだら俺の方が年上に見られるんだから、気にする必要ないじゃん」


『童顔って言うなあっ……!』


そこははっきり言い返すんだ。

でも童顔でちっちゃくて未だに中学生に間違えられるけど、誰よりも真面目で優しくて努力家なAが好き。



「俺もAも好きだから付き合ってる。誰に何言われてもこれでいいんだよ」


そもそもこの付き合いは高校からの延長なんだから、問題なんて1つも無いはずだ。外野の言うことなんて気にしないでほしい。

また涙を浮かべたAはごめんね、と勢いよく抱き着いてきた。
すっぽりと収まる小ささにまた面食らう。弱々しい彼女の背中を優しく抱きしめ、撫でた。



『亮、好き……』


告白した時以来、久しぶりの言葉に胸が詰まる。目の奥がツーンと刺激される。



「もう無視しんでね。しんどかった」


『……ごめん』


「自然消滅もしてない」


『うん……』


もう絶対に離してやらない。その一心で強く抱きしめた。



『ううっ、苦しい……』


「彼氏をいじめ抜いた罰だよ」


柔い温もりに触れた瞬間、我慢していたものが溢れる。ずっとこうしたかった。振られたらどうしようかと不安だった。他に男がいたら……

Aが落ち着くのとは逆に、ジワジワ目の奥が熱くなる。



『亮……?』


「Aが、悪い……っ」


1度流れると収まることを知らない。その肩に顔を埋める。静かに背中を撫でられながら、Aに触れられる幸せを感じ今までの寂しさを涙に流した。







『作り置きでいい?』


「いいよ。めっちゃ美味そう!」


日付が変わる。風呂から上がるとローテーブルにはAが作ったらしいカレーが1皿出来上がっていた。

1人暮らしのワンルームは2人で過ごすには狭く、隣に座ると肘と肘が触れ合ってしまう。でも今はこの狭ささえも愛おしい。



「明日も泊まっていい?」


『いいよ』


「よっしゃ!」


『明後日帰るん?』


「うん」


『じゃあ一緒に帰ろっか?』


Aは嬉しそうにショートケーキの苺を食べた。

♯→←♯



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (110 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
558人がお気に入り
設定タグ:東海オンエア , りょう   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます! これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです!面白すぎます!頑張って下さい!続き楽しみに待ってます!!!!!!! (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年5月14日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。