検索窓
今日:59 hit、昨日:39 hit、合計:190,511 hit

ページ20

.



面と向かって話をしたい。おばさんが明後日には帰ってくるって教えてくれたけど、その前に決着をつけておきたかった。

双方の親を巻き込みたくなく、サプライズしたい、と嘘をついて住所を教えてもらいここまでやって来た。



「……ねえA」


もうどうにでもなってしまえ。



「何で、俺のこと無視するの?」


たとえ残酷でも、幼馴染にさえ戻れなくてもいい。とにかく腹を割って話したい。



「俺のこと、嫌いになった……?」


でもやっぱり……、疎遠になりたくない。せめて幼馴染には戻りたい。相反する思いがぶつかり合って全身が強ばる。悲しい答えなんて聞きたくない。



『嫌いじゃないよ。邪魔しちゃいけないって思ったの』


Aはそっと隣に座る。膝を抱え、ローテーブルの足を1点に見つめている。予想していた以上に背中が小さく、少し面食らった。



『亮はまだ高校生だし青春してるじゃん。今が1番重要な時期だし!

ほら、大学生と付き合うよりも、同い年とか年下の女の子と付き合う方が絶対楽しいよ? 私と付き合ってても、亮の時間を奪っちゃうだけ……』



「いい加減にして」


何が邪魔したくないんだ。黙って聞いていたら理由にもならん理由で避けて。その割には悲しそうに寂しそうに、泣きそうにして。



「誰に吹き込まれた?」


『……別に、誰にも』


「嘘つかんで」


目が泳ぎ、手が不自然に動く。長年近くにいるんだから少しの変化なんて見れば分かる。



『友達……』


「Aは俺の気持ちよりその人の意見が大事なの?」


無理やり目を合わせる。大きな瞳が揺れる。

Aを女の子として見始めてから、どんな男にも負けないくらい熱い視線を送ってきたつもりだ。



「突き放すのが俺のためになるって本当に思ってる?」


小馬鹿にされても、上手く交わされても想いが伝わるようにそばにいた。やっと付き合えてすごく嬉しかった。

1年は大学と高校とで分かれるけど、俺がどんなに頼りなくてもAが大切な人だ。Aに相応しい男になるんだと努力している。それらを全て無下にされた気分だ。



「俺はAしか好きじゃないよ。今さら他の子好きになれって言われても無理」


Aにはとっくの昔に青春を狂わされている。その責任を勝手に放棄するのは許さない。

……責任を取って、俺を愛してよ。好きでいてよ。

♯→←♯



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (110 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
557人がお気に入り
設定タグ:東海オンエア , りょう   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます! これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです!面白すぎます!頑張って下さい!続き楽しみに待ってます!!!!!!! (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年5月14日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。