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面と向かって話をしたい。おばさんが明後日には帰ってくるって教えてくれたけど、その前に決着をつけておきたかった。
双方の親を巻き込みたくなく、サプライズしたい、と嘘をついて住所を教えてもらいここまでやって来た。
「……ねえA」
もうどうにでもなってしまえ。
「何で、俺のこと無視するの?」
たとえ残酷でも、幼馴染にさえ戻れなくてもいい。とにかく腹を割って話したい。
「俺のこと、嫌いになった……?」
でもやっぱり……、疎遠になりたくない。せめて幼馴染には戻りたい。相反する思いがぶつかり合って全身が強ばる。悲しい答えなんて聞きたくない。
『嫌いじゃないよ。邪魔しちゃいけないって思ったの』
Aはそっと隣に座る。膝を抱え、ローテーブルの足を1点に見つめている。予想していた以上に背中が小さく、少し面食らった。
『亮はまだ高校生だし青春してるじゃん。今が1番重要な時期だし!
ほら、大学生と付き合うよりも、同い年とか年下の女の子と付き合う方が絶対楽しいよ? 私と付き合ってても、亮の時間を奪っちゃうだけ……』
「いい加減にして」
何が邪魔したくないんだ。黙って聞いていたら理由にもならん理由で避けて。その割には悲しそうに寂しそうに、泣きそうにして。
「誰に吹き込まれた?」
『……別に、誰にも』
「嘘つかんで」
目が泳ぎ、手が不自然に動く。長年近くにいるんだから少しの変化なんて見れば分かる。
『友達……』
「Aは俺の気持ちよりその人の意見が大事なの?」
無理やり目を合わせる。大きな瞳が揺れる。
Aを女の子として見始めてから、どんな男にも負けないくらい熱い視線を送ってきたつもりだ。
「突き放すのが俺のためになるって本当に思ってる?」
小馬鹿にされても、上手く交わされても想いが伝わるようにそばにいた。やっと付き合えてすごく嬉しかった。
1年は大学と高校とで分かれるけど、俺がどんなに頼りなくてもAが大切な人だ。Aに相応しい男になるんだと努力している。それらを全て無下にされた気分だ。
「俺はAしか好きじゃないよ。今さら他の子好きになれって言われても無理」
Aにはとっくの昔に青春を狂わされている。その責任を勝手に放棄するのは許さない。
……責任を取って、俺を愛してよ。好きでいてよ。
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あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます! これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです!面白すぎます!頑張って下さい!続き楽しみに待ってます!!!!!!! (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年5月14日 22時