年上だから。 ページ17
in 2011
付き合ってからもう9年も経つ。今でも仲良しで長く続いている私達にも、上手くいかない時期があった。
付き合い始めたのは私は大学生になる直前で、亮は高3に進級する前だった。幼馴染の壁を破って付き合えたのはすごく幸せだった。夢じゃないかって思っていた。
でも大学に入ってから色んな出会いを経験し、友達と恋愛や価値観を語るうちに亮と付き合っている自分がいけない人間のように思うようになった。
『ねえねえ』
「どうしたの？」
『……私の友達がね、1個下の高校生と付き合い始めたんだって』
「ほお」
『陽花はさ、女子大生が男子高校生と付き合ってること、どう思う？』
架空の友達と自分を照らし、1番信頼している女友達に意見を聞いてみる。うーん、と考え込んだ彼女はないな、と両断した。
「1つ下やけど高校生は高校生やろ？ その子のこと考えたら私は付き合えへんわ。もっとええ出会い経験してほしいもん」
関西の土地柄だろうか。陽花はとてもサバサバしていた。
『そうだよねえ……』
深く突き刺さった。やっぱり私が今やっていることは亮の出会いを踏みにじっている。
たった1年、されど1年。亮にはもっと色んな経験を積んでほしい。人生の夏休みと言われるけど忙しい大学生のために時間を割くのは、青春の真っ只中にいる亮の時間を奪うのと同義だ。
「A、電話鳴ってんで？」
『ん、大丈夫』
その日から亮との電話を止めた。毎日寝る前の1時間、亮の声や話を聞くのが癒しだったけど心を鬼にして気付かないふりをした。
ゴールデンウィーク中もできるだけ顔を合わせないように帰省した。最後の大会も見に行ったけど、差し入れや手紙はマネージャーに渡した。顧問と挨拶したけど亮には会わなかった。
徹也くんと夢丸くんに遭遇した時は心臓が飛び出すかと思った。
「亮、最近Aさん不足で干からびてますよ？」
「最近会いたいしか言わんよねえ」
『そうなんだ……。私忙しくてなかなか時間が取れんのよ。
これからバイトだげえ、亮によろしく言っといて？』
「分かりました！」
「次は文化祭でー！」
『うん！ 2人とも3年間お疲れ様！』
バレないように、バレないように。清々しい笑顔で手を振る2人を背に、早足で会場を後にした。バイトなんて嘘。本当は何もない普通の休みだった。
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あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます！ これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (
レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです！面白すぎます！頑張って下さい！続き楽しみに待ってます！！！！！！！ (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2019年5月14日 22時
