#虫眼鏡はカップルの危機を探りたい ページ16
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約1年ぶりだろうか。Aちゃんが撮影に来てくれたのでサブチャンを回し、僕はかねてから抱いていた疑問をぶつけてみることにしました。
「お2人さんはさ、別れの危機ってあったの?」
9年も付き合っているなら早く結婚しちゃいなよ、と思うけど、それだけ長く付き合えるのは至難の技です。
バックに元々幼馴染だったのはあるにしろ、稀有な仲の良さだよな。僕はずっと感じていました。
『あるよ?』
案外あっさり返ってきました。
「Aが勝手に自然消滅させようとした事件ね」
『ごめんってえ……』
勝手に自然消滅?
自然消滅は自然と関係が消えているからそう言うのではないのか、と新たな疑問が生まれる。
そしてAちゃんは申し訳なさそうに眉を下げ、りょうくんは拗ねたように眉間に皺を寄せます。
「あれはやばかったよな……」
当時を知るてつやも、
「りょうくんがガチ病み」
しばゆーも、
「ほぼ毎日Aさん不足で飢えとったねえ」
そしてゆめまるも口を揃えました。
「そんなにすごかったの?」
僕が知らないってことはきっと全員と出会う前のお話なんでしょう。
「すごいなんてもんじゃないよ! かなり傷ついた……」
『……若かったんだがや!』
身内だけで進んでいく会話に僕はハテナを出さずにはいられません。としみつもなんのことやら、と言わんばかりに首を傾げています。
「あれ、高3の文化祭の時は危機やったん?」
「めちゃめちゃ危機だったわ」
おっと、突然のポンコツですね。ずっと前の答え合わせをどうして今するだ。
『あの時色々あって亮を拒否して、自然消滅したって思い込もうとしたの』
今だから話せているけど、当時りょうくんの立場になっていたら僕は耐えられただろうか。彼女が別れを装う。僕なら耐えられない。
『年齢差かな。今は気にならんけど当時の1歳差って結構大きかったから』
AもAなりに色々考えていたらしい。高校生と大学生か……
つい1年前に付き合っていた、年が離れた元カノを思い出す。僕も動画で報告したけれど後ろめたさは常に付きまとった。できることなら隠し通したいとさえ思った。
皆の勧めがあってやったものの。
「あの時からA手放さんって決めてたんだよね、俺」
でもりょうくんは純粋な愛でAを包んでいる。
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あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます! これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです!面白すぎます!頑張って下さい!続き楽しみに待ってます!!!!!!! (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年5月14日 22時