お話25 ページ8
「始めるぞ、ミドリ」
辺りが静かになってきたのを見て、黒田さんがボソリと呟く。
「はい」
返事をして席を立ち、スクリーンの前に向かう。
ボソボソと会話していた声が消える。
「はじめまして、FBIのミドリです。現場統括を任せられています。よろしくお願いします」
頭をペコリと下げると、控えめな拍手が聞こえてくる。
こんなに若い奴が?みたいな目で見られるが、そんなのに気にしない。
だって、そんなのに気を使っていたら、潜入捜査なんて出来ないから。
「最終目標は組織を壊滅させること、そして、死者を出さないことです」
芝居がかったように手を広げ、力説する。
目の前にいる捜査官達が、ザワリと騒ぐ。
自分の知らない間に仲の良かった同期が亡くなってたなんて経験したら、死者ゼロを目指すのも、当然だと思うけど。
ってか、なんで死んでるんだよお!
陣ちゃん、命は大切にって言ったよなあ!?
お前のこと、爆死マリモ野郎って呼んでやるよ!
研ちゃん、訓練を思い出せよお!
なんで、なんで脱いじゃったんだよ!
航、殺しても死なないって言ってただろう。
なんで、轢かれただけで死んじゃうんだよお!?
俺は、ゼロを残してなんて・・・。
思案の海を漂っている俺は、顔をあげる。
「死者が出たら、その人の家族が、親友が、傷つく。国のために死んだなら、亡くした悲しみは、怒りは、国家に向く。国家に向いた気持ちは、形をなして、国家に襲いかかる。同じことの繰り返しだ」
前を見据え、堂々と言い切る。
ここにいる人達は、死なないでと言っても効果は薄い。
その代わり、国家の問題となれば、効果は出てくる。
俺が言ったみたいになる可能性は低いが、ゼロではない。
予想通りに、辺りが静まる。
「では、会議を始めます。お手元の資料を見てください」
アメリカから日本に来るときの飛行機で立てた作戦を淡々と話していく。
理由をつけて説明をすれば、しっかりと理解してくれる。
最初のいざこざで忘れかけてたけど、ここにいるのはかなり優秀な人達だ。
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安曇野レゾ - 桜さん» コメントありがとうございます!ゆっくりですが、更新していくので、よろしくお願いします! (2018年10月16日 20時) (レス) id: 8d7d5a4466 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - このあとどうなるかな?続き頑張って! (2018年10月15日 19時) (レス) id: 4b63d11e04 (このIDを非表示/違反報告)
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