お話19 ページ2
ドロッとした病院食を食べながら、彼と話す。
人懐っこそうな彼はノアという名前で、今日本にいるFBIの中では一番若いらしく、現場慣れをしてないらしい。
「ユイ、美味しいですか?」
「いや、あまり美味しくないよ」
ドロッとした病院食は味付けが薄く、噛みごたえが無く、お世辞にも美味しいとは言いがたい。
むしろ、まずい。
「ユイ、記憶がないって本当ですか?あなた、胸を撃ち抜いたんだから」
確かに。
あの時の僕は死のうとしていた。
なぜか、褐色の肌の彼を守らなきゃなんて使命に突き動かされて。
なんで胸を撃ち抜いた?
なぜ、頭じゃなかった?
頭の方が、確実に死ねるのに。
『ヒー君!』
頭の中で誰かが叫ぶ。
たくさんの声が聞こえる。
うるさい、うるさい!
耳を手で覆い、目を塞ぎ、うずくまる。
「ユイ?どうしたんですか?」
「ナースコールだ。急げ!」
どこか遠くからそんな声聞こえてくる。
『俺は君の側に。ずっと、ずっと、一緒に』
『ヒロ!行かんといて』
『はじめまして、諸伏君』
『じゃあな、ゼロ』
よくわからない景色が、声が、頭の中でリピートする。
景色にはいつも、金髪で碧眼の褐色の彼が写っている。
ああ、これは僕の記憶じゃない、僕の記憶だ。
頭の中の変に冷めたところが、そう結論付ける。
景色が次第に薄れ、声も消えていく。
最後に見えたのは、泣いている彼だった。
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安曇野レゾ - 桜さん» コメントありがとうございます!ゆっくりですが、更新していくので、よろしくお願いします! (2018年10月16日 20時) (レス) id: 8d7d5a4466 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - このあとどうなるかな?続き頑張って! (2018年10月15日 19時) (レス) id: 4b63d11e04 (このIDを非表示/違反報告)
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