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Ep32 ページ15

「ちょっと電話してきまーす。」
やっぱ中也に電話しよう。
なんか梶井じゃないかって思い出したよ私。

国木田さんが小声で制止するのも聞かず、扉を開けて外にでる。下の喫茶店でも行こうと、昇降機(エレベーター)に乗り込む。
不安を掻き消すために、鼻歌を歌いながらうずまきに入る。
「あら。Aじゃない。今日は独り?」
前世と同じく、うずまきで女中の仕事をしているメリちゃんが話しかけてくる。
「うん。ちょっとあってね。」
ちょっとどころじゃないんだけどさ。
奥の、外からは見えない位置に座る。
「いつもの。」
一言、手を上げてメリちゃんに云って、電話を掛ける。
「はぁい中也!」
繋ったその瞬間、愉快に声を上げる。
『なんだよ。手前真昼間から…』
真昼間に電話するのが普通です。
「ねぇ。先日梶井さ、サミット会場爆破しなかった?」
私は単刀直入に云う。
はぁ?と、苛立ちを含んだ声が聞こえてくる。
『してるわけないだろ。』
うんしってた。
でも心配だったのよ。梶井だったらうちらどうにも云えないじゃん?
『なンだよ。手前ならそれくり云われなくてもわかンだろ。…なんかあったのか?』
わぁお。此奴優しい。
うん。中也の意外な優しさに気付いたよ。
「…女医の姉さんが、与謝野さんが犯人扱いされて、公安が…」
中也に素直に云う。
『…は?』
中也の腑抜けた声が響いてくる。
『それはねェ。あれは国家レベルの問題だ。……公安は、てきとうに犯人をでっち上げてあれを事件かしようとしてるンだよ。』
なんで中也しってんの。

…国家機密、ってこと?
「そう。…ありがと。謎は解けた。ちょっと安心した。」

判った女医さんは、異能が国家機密で一般人に知られていないこの世界で、一般的に見ても腕のいい医者(私は決してそんなことはあると思ってるけど怖いだけだと思ってる)とみられている。故に警察と関わる機会が多い。だから。警察は指紋を持ってた。

「…彼方達も大変ね。」
一連の電話を聞いて居たメリちゃんが何も云わず、いつものオムライスを私の机に置く。…メリちゃん天使。

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藍梨(プロフ) - とても面白いですね! (2021年8月12日 19時) (レス) id: 42bd1ecc91 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鈴愛(れいあ) | 作成日時:2018年5月20日 18時

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