第2章 ページ6
ー次は、谷保、谷保。お出口は、右側ですー
「はい、降りますよ」
電車で1時間半ほど揺られて、やっと谷保駅にたどり着いた。
別に外見が特別変なわけじゃないのに、なぜかこの男は目立っていて、どこか風景に馴染んでいない。
だから隣を歩くだけでちょっと精神力を使う。
私たちは改札を出た。
「ほら、あそこにもう天満宮見えるでしょ。いってらっしゃい」
このまますぐ家に帰るんじゃ交通費もったいないからどっか寄って帰ろっと…
『おい、お前も探すの手伝え』
「は?」
そういえば谷保天満宮に取りに行きたいものがあるっていってここまできたけど…それを探すのを手伝えと??
「嫌。もう疲れた。着いたら一人で何とかするって約束でしょ」
そう言うと、男はちょっと不満そうな顔をする。
「はぁ…分かった分かった。手伝えばいいんでしょ。てか天満宮に物を取りに行くってどういうこと?買うの間違いじゃなくて?」
『俺が預けた物を取りに行くだけだ』
え、天満宮の関係者か何か?
よく分からないまま天満宮に入っていく。
『…変わってねぇな』
天満宮を見て、謎に感慨深そうにそう呟くあたおか男。
谷保天満宮は参拝客で溢れていた。再来月がセンター試験だからか、受験生らしき学生たちも多くいる。
「で、探し物って何なの」
『如意棒』
「え、孫悟空が持ってるようなやつ?」
『それは知らねぇ』
「如意棒預けたから取りに行くってどういうことなの」
『羂索と契約した後にここの宮司に預けたんだよ。あんときの宮司は俺の親戚だったからな。今はどうかしらねぇが』
「またしても意味不明」
何でこんな意味不明なことを大真面目な顔で言えるんだろう…
中をフラフラ歩いていると、鹿紫雲一は突然立ち止まった。
気のせいかもしれないけど、バチバチッという音と共に火花が散ったように見えた。
『…近くにある』
そういうと鹿紫雲一はスタスタと早歩きでどこかへ向かう。
何かヤバいことをしでかしそうだったから急いで後を追った。
「ちょっと、そこは今日開いてないから入れないってば」
鹿紫雲一は、閉館中の宝物殿の中に入ろうとしていた。
『この中に俺が預けたものが置いてある。開けるから下がれ』
「は!?犯罪なんですk…」
…とんでもない音と共にドアを破壊するあたおか男。
「ほんとに勘弁して……」
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ヤハウェ(プロフ) - 由良の門をさん» そういう先輩っていうのは社会にごろごろいますから気をつけていきましょうね‼️鹿紫雲たんみたいなのが一家に1人いれば、日本社会はもっとマシになるはずであります…応援あざむぁす! (2月19日 14時) (レス) id: 3429f701c5 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - うみさん» ありがとうございむぁす‼️いい話ですよね😍オイラも好きですよ✨ (2月19日 14時) (レス) id: 3429f701c5 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 企画を丸投げする先輩共腹立つと同時に、鹿紫雲の優しさが主人公にしみますね・・・!更新楽しみです!頑張ってください!!!! (1月15日 23時) (レス) @page17 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 作者さまの小説の中でこの小説が1番好きです!鹿紫雲目線と主人公ちゃん目線の書き方、文章の表現が素晴らしいです…好き! (11月29日 21時) (レス) @page23 id: d6837fdd33 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - あわさん» そう、鹿紫雲ちゃんは最高なのですよ!!沼れ!沼れ!いや、もう沼っているはずだお。この小説を読んだことがその証拠さ… (2023年4月13日 0時) (レス) id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤハウェ | 作成日時:2022年12月3日 0時