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「あの、迫田太一…ではないですよね?」
見た目も声質も、明らかにさっきまでここにいたはずの私のDV元彼とは違う。アイツとは別人なはずだ。
でももしそうなら、太一はどこへ…?
『……』
何かを思い出そうとしているような顔をして、ボーッとしたまま返事をしない青髪男。
「いつこの家に入ってきました?てか何でここにいるのか教えてもらえると助かるんですけど…」
『……』
「あの、話聞いてます?」
『あ?あぁ、悪い』
青髪男は我に返ったようにそう言うと、私を真っ直ぐ見つめて一歩こちらに近づいた。
反射的に、私は一歩後ろへ下がる。
『谷保天満宮に行きたい』
「え、何なの急に…」
『取りに行きたいもんがあんだよ。こっからどうやって行ったらいい。歩きでどれくらいだ?』
「結構遠いから歩きじゃ無理…かな…南武線の谷保駅で降りたらいいんじゃないですか?知らないけど、名前的に…」
男はよく分からんとでも言いたげに顔を顰める。
『どの方角に何里だ』
いや知るか。
「自分で調べてくださいよ…てか私の質問に全然答えてくれてないし…」
『何か聞いたか?』
「色々…とりあえず、名前は?」
『鹿紫雲だ』
「下は?」
『
「カシモハジメ、ね」
やっぱり元彼とは別人だ。「カシモハジメ」なんて咄嗟に思いつく名前でもないし。ホントに何者?
「何でここにいるのか教えてもらえますか?ちょっと色々不可解すぎてかなり混乱してるんですけど…」
『俺も知らん。俺がコイツを選んだわけじゃねぇからな』
「は?もうホントに何言ってんの?」
『もういいだろ。とにかく、お前は谷保天満宮までの行き方、知ってんのか?』
何にもよくないけど、この人に何を聞いてもダメな気がしてきた。
「まあ、ググれば行けると思いますけど」
『じゃあ連れてけ』
「は?何で私が?」
『行き方知ってるから』
この人大丈夫なのかな…まともに見えるけどかなりあたおかでは…
「訳わかんない…とりあえず、谷保天満宮まで連れてったらいいんですね?そしたらもうそっから先は一人で何とかしてくれます?」
連れていくことを承諾すると、あたおか男は笑顔で頷いた。
ガラスみたいな顔してるくせに、笑顔は無垢であどけない。
「はぁ…準備するからちょっと待ってて。てか太一どこ行った…」
『迫田太一はもう戻ってこねぇ』
「?」
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ヤハウェ(プロフ) - 由良の門をさん» そういう先輩っていうのは社会にごろごろいますから気をつけていきましょうね‼️鹿紫雲たんみたいなのが一家に1人いれば、日本社会はもっとマシになるはずであります…応援あざむぁす! (2月19日 14時) (レス) id: 3429f701c5 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - うみさん» ありがとうございむぁす‼️いい話ですよね😍オイラも好きですよ✨ (2月19日 14時) (レス) id: 3429f701c5 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 企画を丸投げする先輩共腹立つと同時に、鹿紫雲の優しさが主人公にしみますね・・・!更新楽しみです!頑張ってください!!!! (1月15日 23時) (レス) @page17 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 作者さまの小説の中でこの小説が1番好きです!鹿紫雲目線と主人公ちゃん目線の書き方、文章の表現が素晴らしいです…好き! (11月29日 21時) (レス) @page23 id: d6837fdd33 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - あわさん» そう、鹿紫雲ちゃんは最高なのですよ!!沼れ!沼れ!いや、もう沼っているはずだお。この小説を読んだことがその証拠さ… (2023年4月13日 0時) (レス) id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤハウェ | 作成日時:2022年12月3日 0時