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……頭痛い。
太陽がそこそこの高さにまで昇っているのが見えて一瞬焦ったが、今日は土曜日だということを思い出してほっと胸を撫で下ろした。
昨日は鹿紫雲さんと飲んだんだっけ。
近くの居酒屋に行って、ガンガンお酒を注文して飲みまくったことは覚えているが、そこからの記憶はない。
私は泥酔すると記憶を失うタイプだ。
ふと寝息が聞こえることに気づいて隣の布団を見ると、鹿紫雲さんが寝ていた。
……驚き。
いや、隣で寝てるのはいつものことなんだけど、今まで鹿紫雲さんが私より遅く起きることなんてなかったから。
いつも高齢者かってくらい起きるのが早くて、私が目覚める時にはすでにピシッと活動モードに入ってるような人なのに。
今日はどうしたんだろう。
昨日の記憶がないだけに何かちょっと不安になった。
何故か分からないけど先に起きるのが申し訳なくなって、もう一度静かに布団に寝転ぶ。
仰向けに眠っている鹿紫雲さんの横顔をじっと眺めてみた。
今まで、彼の寝姿はあんまり見たことがなかった。
彼の顔をこんなにじっくり眺めるのは初めてかもしれない。
……綺麗な顔。
どこをとっても完璧で、悪いところが見つけられない。
前世でどんな徳を積んだらこんな顔に産まれてこれるのか、教えてほしいくらいだ。
…でもきっと、本人は自分の面の良さなんか全く自覚してないんだろうな。
彼からは、自己顕示欲とか虚栄心とか、そういうものを全く感じない。
周りにどう思われるかとか、そういうことには本当に興味がなさそうで、いつも自分のやりたいことをやりたいようになっている。
悪く言えば社会性がないということなのだが
いつも少しだけ羨ましかった。
世界中を敵に回しても生きていけそうな彼の強さが、羨ましかった。
そんなこんなで色々考えてるうちに二度寝してしまい、次に起きた時にはもう鹿紫雲さんはガッツリ起床していた。
「あ…おはよう……」
『そんな時間帯じゃねぇけど』
時計を見ると、もう12時過ぎだった。
「じゃあおそよう。鹿紫雲さんも今日は起きるの遅かったでしょ?」
何で知ってんだとでも言いたげな顔で私を見る鹿紫雲さん。
何だか、私を見る鹿紫雲さんの目が今までと少し違う気がした。
今までよりももっと、私の深いところまで見透かされているような気がして、何となく目を逸らしたくなった。
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ヤハウェ(プロフ) - 由良の門をさん» そういう先輩っていうのは社会にごろごろいますから気をつけていきましょうね‼️鹿紫雲たんみたいなのが一家に1人いれば、日本社会はもっとマシになるはずであります…応援あざむぁす! (2月19日 14時) (レス) id: 3429f701c5 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - うみさん» ありがとうございむぁす‼️いい話ですよね😍オイラも好きですよ✨ (2月19日 14時) (レス) id: 3429f701c5 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 企画を丸投げする先輩共腹立つと同時に、鹿紫雲の優しさが主人公にしみますね・・・!更新楽しみです!頑張ってください!!!! (1月15日 23時) (レス) @page17 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 作者さまの小説の中でこの小説が1番好きです!鹿紫雲目線と主人公ちゃん目線の書き方、文章の表現が素晴らしいです…好き! (11月29日 21時) (レス) @page23 id: d6837fdd33 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - あわさん» そう、鹿紫雲ちゃんは最高なのですよ!!沼れ!沼れ!いや、もう沼っているはずだお。この小説を読んだことがその証拠さ… (2023年4月13日 0時) (レス) id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤハウェ | 作成日時:2022年12月3日 0時