第６章 ページ22
……昔からいつもそうだった。
大学のときのグループワークでも、今回みたいな会社のチーム作業でも。
チームの人たちを頼れなくて、結局一人でやってしまう。
そういう準備作業はめんどくさいから、私が一人でやればみんなはラクができて、何にもしなくてもいい成績が手に入る。
そうしたらみんな、私と同じグループになると喜んでくれる。
私と同じ班になりたいって言ってくれる。
別に、みんながラクできることが嬉しいとか、チームのためなら頑張れるとか
そんな天使みたいな思考を持ってるわけじゃない。
他のメンバーが遊んでいるのを横目に見ながら面倒くさい作業をするなんて、本当は全然やりたくない。
でも、私が自分のわがままを通して頑張ることをやめてしまって、「同じグループにAさんがいればラクだ」と周りから思ってもらうことすら出来なくなったら
自分にはもう何も価値が残らない気がして怖かった。
身体目当てなんだろうなって分かっていながら、男性からの誘いを断れないのも同じ理由だ。
私が持ってる「若い女」というステータスが彼らにとっての価値なのであって、別に私が特別なわけじゃない。
好きな人とだけしたいとか、純潔でいたいとか
そんな自分のわがままを通そうとして、その価値すら失ってしまったら
自分がもう、誰にも必要とされなくなる気がして怖かった。
自分が周りから、都合のいい人間だとしか思われてないのは分かってる。
それがいかに不名誉なことなのかも、知ってる。
でも都合よくしてなきゃ、私はきっと、いてもいなくても変わらないような存在になるから。
そうなるくらいなら
一人で苦労してでも、好きでもない人と一夜を過ごしてでも、誰かに必要とされたい。
感謝されたり、体を求められている時に感じる束の間の安心を、失いたくない。
こういうことがあるといつも辛くなって、その度に一人で泣いて、耐えてきた。
でも今日、私は初めて人に頼ろうとした。
ちょっと前からうちに住んでいる、何もかもが意味不明なあたおか男に、話を聞いてもらおうとした。
雨風を凌ぎたいがために私を脅迫して、この家に転がり込んできたこの男は
よく分からないことばっか言うし
私によく思われようなんて微塵も思ってないくせに
いつも優しくて、私のこと心配してくれるから
この人なら聞いてくれるんじゃないかって、期待したくなった。
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ヤハウェ(プロフ) - 由良の門をさん» そういう先輩っていうのは社会にごろごろいますから気をつけていきましょうね‼️鹿紫雲たんみたいなのが一家に1人いれば、日本社会はもっとマシになるはずであります…応援あざむぁす！ (2月19日 14時) (
レス) id: 3429f701c5 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - うみさん» ありがとうございむぁす‼️いい話ですよね😍オイラも好きですよ✨ (2月19日 14時) (レス) id: 3429f701c5 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 企画を丸投げする先輩共腹立つと同時に、鹿紫雲の優しさが主人公にしみますね・・・！更新楽しみです！頑張ってください！！！！ (1月15日 23時) (レス) @page17 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 作者さまの小説の中でこの小説が1番好きです！鹿紫雲目線と主人公ちゃん目線の書き方、文章の表現が素晴らしいです…好き！ (11月29日 21時) (レス) @page23 id: d6837fdd33 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - あわさん» そう、鹿紫雲ちゃんは最高なのですよ！！沼れ！沼れ！いや、もう沼っているはずだお。この小説を読んだことがその証拠さ… (2023年4月13日 0時) (レス) id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤハウェ
| 作成日時：2022年12月3日 0時
