第５章 ページ18
今日も怪しげなエナジードリンクを片手に徹夜をしているA。
「鹿紫雲さん」
『？』
「私って偉い？」
『は？』
「徹夜してチームのために頑張ってるの、偉い？」
『…』
「偉いよね？」
『…偉い』
「ありがと」
ほとんど流されて言っただけだったが、Aは満足そうな顔をして作業を再開した。
・
「よし、今日はこれくらいでいいや」
パソコンの画面を閉じて伸びをするA。
「鹿紫雲さんももう寝る？電気消していい？」
『おう』
パチっと電気が消されて、暗闇が広がった。
隣の布団で横になっているAの、シルエットだけが見える。
この部屋にある音は、しばらくのあいだ二人の静かな呼吸だけだった。
「…鹿紫雲さん」
Aが寝返りを打つ。
顔は見えないが、こっちを向いたのが分かった。
「鹿紫雲さんはさ、何でいっつも私が寝るまで起きててくれるの？」
俺たち以外に誰かいるわけでもないのに、囁き声でAは言った。
『俺が起きてなかったらお前、机でそのまま寝落ちするだろ』
「寝落ちしたらダメなの？」
『風邪ひくだろ』
「それって…どうでもいいことじゃないの？」
『……』
「……鹿紫雲さんって、優しいんだね」
今まで、あまり言われたことがない言葉だった。
少しの間、沈黙が広がる。
「相手が私じゃなくても、そんな風に…心配するの？」
『……』
「女の子だったら誰に対してでも……そうやって、優しくする…？」
…不思議な気持ちがした。
俺にできる例えで言うなら、敵が思いもしない場所に立っていたときとか
想像もしなかったような技を出してきたときとか
そういう時に感じるあの、骨抜きにされたような感覚。
それと、似て非なるものを感じた。
そして、自分の中で答えを探すよりも先に
コイツがその質問に対して、俺にどう答えて欲しいと思っているのか、ということを考えた。
「……急に変なこと聞いてごめん。答えなくて大丈夫だから」
いつも通りの声色でそう言うA。
「おやすみ」
そしてそのまま、向こうを向いた。
『…A、』
しばらく経ってから名前を呼んでみたが、返ってきたのは寝息だけだった。
真意は分からなかったが、もし、俺の答え方によっては彼女が傷つくことがあるというなら
そうなるような答えは、選びたくないと思った。
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ヤハウェ(プロフ) - 由良の門をさん» そういう先輩っていうのは社会にごろごろいますから気をつけていきましょうね‼️鹿紫雲たんみたいなのが一家に1人いれば、日本社会はもっとマシになるはずであります…応援あざむぁす！ (2月19日 14時) (
レス) id: 3429f701c5 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - うみさん» ありがとうございむぁす‼️いい話ですよね😍オイラも好きですよ✨ (2月19日 14時) (レス) id: 3429f701c5 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 企画を丸投げする先輩共腹立つと同時に、鹿紫雲の優しさが主人公にしみますね・・・！更新楽しみです！頑張ってください！！！！ (1月15日 23時) (レス) @page17 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 作者さまの小説の中でこの小説が1番好きです！鹿紫雲目線と主人公ちゃん目線の書き方、文章の表現が素晴らしいです…好き！ (11月29日 21時) (レス) @page23 id: d6837fdd33 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - あわさん» そう、鹿紫雲ちゃんは最高なのですよ！！沼れ！沼れ！いや、もう沼っているはずだお。この小説を読んだことがその証拠さ… (2023年4月13日 0時) (レス) id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤハウェ
| 作成日時：2022年12月3日 0時
