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なぜ禪院家の人間とA家の人間のあいだで特別な関係が結ばれてはいけないかというと
この二つの家系は元を辿れば同じ一族だからである。
遠い昔にとある出来事がきっかけで禪院家の中に2つの派閥が生まれ、その時に勝った方が今の禪院家、負けた方がA家。
同じ一族とはいえもうほぼ他人と言ってもいいほどの遠戚だし、そもそもA家は養子をとって成り立ってきた家系だから
生物学上の問題はないに等しいだろうと思う。
きっとこの御法度は、勝ち組の血に負け組の血は混ぜてはならないという、そういう意識から生まれたものなのだ。
そういうわけで、私と禪院直哉は全くの他人同士であるにも関わらず、互いに恋愛感情を抱くことは許されない。
あの乱闘以降、禪院家では私を解雇させるべきだという意見が強まっていった。
禪院直哉が私を全力で擁護すれば、彼の次期当主の座が揺らぐことになるし
かといって私が解雇されればもう会えなくなってしまうしで、あの頃はすごく悩んだものだが
結局、私は当主から解雇を言い渡され、その短い使用人生活を終えることになった。
解雇を言い渡されたその日に、私は使用人部屋を退去し
A家本邸に戻った。
A家の本邸は禪院家の敷地の隅っこにある。
まだ使用人デビューしていない17歳以下の子や、使用人を引退したおばあちゃん
主に経理や管理、工事などを担当しているA家の男性などが住んでいる場所である。
しかし私がこの本邸で過ごすことを許された期間は、たったの一週間だった。
一週間で荷造りやら諸々の手続きやらを済ませて、A家からも出て行かないといけなかったのだ。
事実上の縁切り。
今思うと、まったくひどい話だと思う。
主人と恋愛をすることがいくら御法度とはいえ、当時の私はまだ17歳だ。
少しの過ちぐらい許してやれよ。
でも正直、あの家を出られることにホッとしている自分もいた。
禪院直哉と離れたくないという気持ちはもちろんあった。
でも、いくら彼のことが大好きだったからといって、禪院家での全ての生活が良くなったかと言われたらそういうわけじゃなかった。
仕事は苦じゃなかったとはいえ、彼と一緒にいない時間はいつも孤独だったし、辛いこともいっぱいあった。
それに、一般社会での生活に対する憧れもあった。
だから私は解雇を甘んじて受け入れたのだ。
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ヤハウェ(プロフ) - y1u2i3n4aさん» いえいえとんでもございませぬ‼️あなた様の涙腺を少しでも刺激できたなら身に余る光栄…♪これからも精進致します‼️‼️アーメン⭐︎ (2月20日 11時) (レス) id: 3429f701c5 (このIDを非表示/違反報告)
y1u2i3n4a(プロフ) - ああもう最高です。こんな素敵な作品をこの世に授けてくれて本当にありがとうございます!!ボロ泣きです!!!! (2月17日 0時) (レス) @page49 id: 9135bf7da8 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - 都さん» 覚えていますよぉ〜。一度でもコメをくれた方の名前は、未来永劫覚えておく主義なのです⭐️いろんな場所を回って、改めてこの作品の神具合を理解したということですね‼️ウンウン、喜ばしい進化です❗️応援サンキュー!! (1月7日 23時) (レス) id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - あい(^_−)−☆さん» 全ての直哉推しが還る場所はここだね‼️原点にして頂点❗️それがこの作品✨(違う)来年も再来年もこのクソLIFEを読み返して、素敵な人生にしようねッ❗️ナオヤ万歳🙌 (1月7日 23時) (レス) id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
都(プロフ) - 覚えてくださってるか分かりませんがおひさ‼️ヤハウェ様‼️直哉様の作品読んできたけれどやっぱりこのヤハウェ様の作品が一番好きです‥!幸せをありがとうございます!天才・神ヤハウェ様のこと応援していますー!! LOVE❤️ (1月7日 3時) (レス) @page49 id: b09a3540b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤハウェ | 作成日時:2022年8月4日 23時