5 ページ5
A、歌い手デビューするとか聞いてないんだけど!!!
ツイキャスを終えた直後に、そんなメッセージが幼馴染から送られてきた。
次に会う時に伝えようと思っていたんだけどな……。どうやら直ぐに報告すべきことだったらしい。
とりあえず謝罪と後日詳しいことを話すと言った内容を返信した。
***
今日の仕事はいつも以上に忙しく、かなり遅くなってしまった。家に帰ってから料理をするという体力はもう残されていない。
晩ご飯は久しぶりにコンビニ弁当にしよう。そう決めて家までの帰り道にあるコンビニに入り、適当に選んだお弁当をレジに持って行った。
「あと1円ありますか?」
「あっ……」
よかった、ぎりぎりあった!
と思った先程の自分は何だったんだろう。
財布の中を何度も確認するも、お金が増えるはずもなく……。
たった1円、足りない。
なんともマヌケな失態の恥ずかしさに、全身が一瞬で熱を帯びた。
「違うお弁当にーー」
します、と続けようとしたその時。
横からスッと手が出され、1円が置かれた。
気付くと隣には、私よりも少し背の高い、ふわふわとしたショートカットの女の子が立っていた。
ちょうどいただきますと微笑んだ店員さんが会計を済ませ、お弁当を袋に入れて渡してくれる。
見知らぬ私を助けてくれた彼女に感動と感謝の気持ちと、申し訳なさでいっぱいになった。
「あの、すみません……
ありがとうございます……!」
こちらを向いた彼女はマスクをしており口元は見えないが、くりくりとした可愛らしい瞳が優しく細められて、微笑み返してくれたのだと分かった。
「後日きちんと返しますので……!
本当にありがとうございました」
彼女に頭を下げて、未だに火照っている身体を冷ますべく小走りで外に出た。
***
「あっ……」
家に着いた時、彼女の連絡先を聞き忘れていたことに気がつく。
今日の仕事の疲れは自分が思っている以上なのかもしれない。
取り敢えず解決策を考えないと。
これくらいの時間にあのコンビニに来ていたということは、家が近くなのかもしれない。
そうしたらまた、きっとあのコンビニで会えるはず。
そう考え、明日から彼女に会えるまで毎日通おうと決心したのだった。
236人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らうる(プロフ) - るなさん» ありがとうございます!また見にきていただいた時に楽しんでいただけるように頑張ります(^^) (2018年1月2日 3時) (レス) id: bb83672fe0 (このIDを非表示/違反報告)
るな - あっ、アンチとかではないので!なるせ大好き人間です!(*≧∀≦*) これからも頑張って下さい☆彡 また見にきます!! (2017年12月29日 4時) (レス) id: 52e5fba8f3 (このIDを非表示/違反報告)
らうる(プロフ) - るなさん» 訂正させていただきました。ご指摘ありがとうございました…! (2017年12月28日 12時) (レス) id: bb83672fe0 (このIDを非表示/違反報告)
らうる(プロフ) - まひるさん» 嬉しいです…そう言っていただけて、本当に有難いです。ありがとうございます…! (2017年12月28日 12時) (レス) id: bb83672fe0 (このIDを非表示/違反報告)
るな - あらきに対する話し方が敬語なのが違和感なので、もし宜しければ訂正して頂けるとありがたいです! (2017年12月26日 17時) (レス) id: 52e5fba8f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らうる | 作成日時:2017年8月22日 18時