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引っ張られてきた先は見慣れたあたしたちの教室。
小瀧の机には、脚本が置いてある。



『瀬戸川さんまじで呼びに来てくれてありがとう!』


マ「いーえー笑 Aのピンチには王子が駆けつけんとな」



王子…まぁそうか。間違ってはない。
そしたらモカちゃんのピンチにも小瀧は飛んでいくんかな。
…何かそれ想像したらちょっとモヤっとするような。



マ「多分A意味分かってないわ笑 頑張れ小瀧くん」


『うん…頑張る…笑』



2人で謎の会話をしている。
マナミと小瀧ってそこそこ喋るんやなあ。
誰にでも自然体でおれるマナミが羨ましい。



それから3人でたわいもない話をしてたら
小瀧がソワソワし出して。
んでそれを見たマナミが急にあっ!とか言って
理由も言わんと帰ってしまった。



何かいきなり、2人きり。



自分の机に座っているあたしと自分の席に座ってる小瀧。
頬杖をついてあたしを見上げているのが
夕日と合わさって色んな意味で眩しい。



『Aさん、さっき大丈夫やった?』



優しい声が、そっと落ちる。



「うん、小瀧来てくれたし…助かった、ありがとう」


『待って、ほっぺ赤ない?』



髪の毛で隠していたのだけど、バレてしまった。
分かりやすいだろうか。



「夕日ちゃう?笑」


『誤魔化さんといて』



立ち上がった小瀧があたしの髪を耳にかけた。
あの日と同じ暖かい指が、頬に触れる。



痛かった。
けどそれ以上に、心臓がうるさかった。



『ほら…赤いやん、保健室行って冷やそ?』


「大丈夫。こんなん寝たら治るし」


『あかん。行くで』



また腕を掴まれた。
離すまいと強引にあたしの前を歩く背中に
少しだけ、甘酸っぱい感情が湧き上がった。

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作者名:カジャ | 作成日時:2022年9月12日 21時

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