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放課後が来るのが怖かった。
普段あんなに進まない時計の針は、
こういう時ばかりよく進む。
最後の授業は淳太だった。
｢Aが書いてくれた脚本完成したから全員に配っとくわ。
皆Aの頑張り無駄にせんように頑張りや｣
終了5分前に配られた脚本。
感嘆の声をみんなが上げてくれて嬉しい反面
1番気になるのは小瀧の反応だった。
気になるけど、向けない。
あんな目で見られて尚普通にはできない。
小瀧を露骨に好いているのは顔も態度もキツい女ばかり。
1対1は何とかなっても集団で来られたら…
『Aさん、めっちゃいいやんこれ』
不意に後ろから投げられた言葉。
それはとてもあたしの心を暖かくした。
一瞬さっきの光景を忘れられるほど。
｢…ありがと｣
後ろも向かないまま返した。
あたしの態度に気を悪くしたのか
それ以降小瀧は何も言わなかった。
･
･
･
久々にマナミと2人で帰ることに。
シュリとセナは衣装係で、早速キャストの衣装を見に行くらしい。
周りの目に怯えながら教室を出ると
マナミがバシッとあたしの背中を叩く。
｢痛いわ笑｣
マ｢さっきの気にしてんねやろ？大丈夫やて！私おるから｣
｢いやがち怖い、はよ出よ｣
大丈夫やって〜と繰り返しながらも
早足のあたしについてきてくれる。
時折睨むような視線を感じれば、マナミが盾になって
話を振ってくれたおかげで無事下駄箱についた。
自分の靴箱を開けた途端、物凄い勢いでバタンとそれが閉まる。
来た、と直感で思った。
｢ 望くんの髪触ってたんあんたよな？ ｣
脱出失敗。
マ｢何あんたら｣
｢ お前に聞いてないから。なぁ、何であんたが気安く
望くんに触れてんの？ ｣
マ｢ええってまじで。どっか行けよ｣
｢ 鬱陶しいな、邪魔やねんお前 ｣
マナミが突き飛ばされて下駄箱に当たる。
ブチ、と何かが切れた気がした。
｢マナミ、ありがとう先帰って。ごめんなあたしのせいで｣
マ｢あかん。私も一緒に、｣
｢大丈夫。まじでごめん｣
怖い、という気持ちは消えていた。
自分の醜い感情を撒き散らすこいつらに、
煮えくり返るような思いがする。
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作者名：カジャ
| 作成日時：2022年9月12日 21時
