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「小瀧どうしてん、髪ボサボサやん」



休み時間。
重岡が後ろに行って、小瀧に絡む。
あたしがわしゃわしゃしてから魂抜けてるんか反応薄いねん。



「俺が整えたるわ」


『触んな!絶対触んなぼけ!』



おお。素早い噛みつきや。
腕で頭を守っている。



「めっちゃ怒るやん更年期か?」


『これはな!これは…』



小瀧が重岡に耳打ちで何か呟く。
ニヤけた重岡はあたしを見て、なるほどと頷いた。



確かにその頭にしたのはあたしやけど…ニヤつく理由は分からん。



「なるほどなぁ?じゃあAさん直したってくれん?笑」



重岡の声と一緒に小瀧が頭をあたしにん!と向ける。
いつにも増して上機嫌な気がするけど。
わしゃわしゃされて嬉しかったんかな。



けどめっちゃ大胆なことしてもうたよな…
学年1のイケメンの頭を触ってしまうなんて。



「ごめん小瀧。いきなり頭触って…」



そう言いながらまた触れてるんやけど。
なるべく触れるところが少なくなるよう摘みながら直していく。



『んーん。もっとしてほしいぐらいやわぁ』



変わってんな。前世犬やった?



ちょっとずつちょっとずつ髪を戻して、元の形に。
もう少しで元通り…になるところで廊下から悲鳴が聞こえて。



クラス全員が廊下の方を見た。
いつも通り他クラスの女が外に群がっているが、その視線は…



全てあたしに向いている。



慌てて手を離してももう遅い。
悲しみ、嫉妬、羨望、怒り。



淀んだ感情を持つ目に射抜かれる。



…終わった、かも。

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作者名:カジャ | 作成日時:2022年9月12日 21時

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