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準備が始まるのは来週から。
10月の末、30日と31日に文化祭は行われる。
1ヶ月ちょっとしか期間がないから脚本は
なるべく早く仕上げたいが…
劇の持ち時間である50分にあの2時間のお話を短縮せなあかん。
それも準備片付け合わせて50分やから、
どれだけ多く見積っても劇自体の時間は40分しかない。
皆が部活やら帰るやら言うて誰もおらんくなった教室で
1人寂しく映画を流しては止めて
どこを取ってどこを捨てるかひたすら悩んだ。
どうせなら皆に良いって思ってもらいたい。
小瀧がせめて楽しく演技できるように。
モカちゃんで良かったと思えるように。
マネージャーの勧誘は一旦ストップすると
言ってくれたから、その分全力投球で。
ここはカット。
ここは入れる。
読書の時と同じモードでやっていたら、
人が入ってきていたことに気づかなかった。
｢頑張ってるやん｣
突如響いた声に肩が揺れる。
見上げれば、竜雅くんが立っていた。
｢びっくりするやんか…竜雅くん残ってたんや｣
竜｢忘れもんしたの気づいて戻ってきてん｣
｢あ、そうなん。ご苦労様です｣
プリントだけ取って帰るのかと思っていたら、
そのまま自分の席に座って椅子をあたしに近づけてくる。
｢どうしたん、竜雅くん音響やろ？まだ全然出来てないで｣
竜｢俺小説書いてたことあるから、役に立てるかなと思って｣
｢え！何で脚本やらんかったん？｣
竜｢…小瀧があまりにもAさん見てるから言えんくて笑｣
あらー。やっぱりめっちゃ見られてたよな…
それにしても勿体ない。
竜雅くんの脚本の方が絶対良さそうやん。
竜｢Aさんって、小瀧のこと好きなん？｣
｢へ？イケメンやとは思うけど…好きじゃないで笑｣
竜｢そっか。……よかった｣
聞こえない声で何か呟いた竜雅くんは、あたしの携帯の
画面を覗き込んで｢手伝う｣と言ってくれた。
強力助っ人ゲット。
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作者名：カジャ
| 作成日時：2022年9月12日 21時
