♡ 20 ページ20
その後裏方の仕事も続々と決まり、
話し合いは終了。
本読むのは好きやけど脚本なんか書いたことないな。
セリフと場面転換だけで物語が進む劇。
小説やって展開が動いていくのはセリフやけど…
席に戻った後ろの方に強めに背中をつつかれる。
怖々振り向くと、腕に顔を埋めて上目遣いで
こちらを見ている小瀧。
『…なんでお姫様やってくれんかったん』
声が聞こえにくく、少し顔を近づける。
もちろん目は見ない。
「ごめん。なんて?」
『俺Aさんにお姫様やってほしかったのに。あほ』
「そう言われても…脚本しっかりやるから許して」
『俺の目見て言うたら許す』
そもそも何で謝らなあかんか分からんけど、
元気の無い小瀧は何か気持ち悪い。
上目遣いという破壊力が増している状態の小瀧の目を…
目を見る……
きゅるんっと少女漫画のような目があたしを捉えていた。
「ごめん無理」
『じゃあ許されへんなぁ?』
「うーむ……」
『てか俺の目何でそんな見れへんの?笑』
言ったらキモがられるやろ。
アイドルならまだしもいちクラスメイトに言えることちゃうんや。
「男の人の目見れへんねん」
『でもさっき高野と楽しそうに話してたやん』
' のんちゃんやきもち妬いちゃう '
何で?と体が反応していた。
しっかり目が合ったのはこれが3回目。
ニヤ、と笑う小瀧の本当の気持ちは分からない。
『見てくれた笑 やきもちどっか行ったわ』
「なんやねんそれ…」
『しゃーなし脚本で許したる』
授業始まるで、と前を指された。
なんか腑に落ちないまま向き直ると、振り向いていた
重岡が満面の笑みで小瀧にグーサインを送っている。
それと同時に隣から竜雅くんの視線を感じた。
…さっきの会話聞こえてたかな。
236人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:カジャ | 作成日時:2022年9月12日 21時