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五条「たかが山村一つ攻めるのにかける人数とは思えません」
首を傾げた五条に、表田が言った。
表田「園田村は戦向きの地形だ。背後に山が高くそびえ、前は田や畑でぬかるんでいる。川があるから橋を落とせば侵入も難しい。
妥当な人数だ」
五条「なるほど………」
押都「五条、ご苦労だったな。下がれ」
ざわざわとした静かな騒めきと共に踏鋤や桶を持って忍び装束の青年たちが里から出て行く。
忍びは夜目が利く。そのうえ今夜は月が出ている。潜入には向かないが、人の通らない山道を進むなら夜のうちに進んでしまうのがいい。
※五条が目を閉じて走ってきたのは、報告を終えて明るいところから暗いところに出るときにすぐ夜目が利くようにわざと閉じています
左之助「さてと。三日後じゃったな」
押都「反屋に引き続きドクタケの動向を探らせます。補佐と連絡役に、五条と入れ替わりに椎良を向かわせました」
組頭「それぞれの隊に交互に仮眠をとり、作戦に備えるよう伝えよ。
これで会議を終わる」
雑渡の背後に控えていたAの背中を誰かがとんとん、と叩いた。
Aが振り返ると、先程出て行ったはずの柚太郎がニコっと笑って立っていた。
A「柚太郎さん」
柚太郎「やぁ、Aちゃん」
A「オーマガトキへ向かわれたのではなかったんですか?」
柚太郎「ん?行くよ。その前に発案者だっていうAちゃんの顔見てこうと思ってさ。
兄様の奥さんになったら僕の姉様になる人だし」
けろりと笑う柚太郎に、Aは顔をしかめた。
A「私は昆奈門様が」
柚太郎「子供作れないのに?」
A「それがなんですか」
柚太郎「外から来た人間は子を産まなければならない。里の掟だよ。
名義上雑渡様の妻になったとしても、誰か他の男の子を産むことは明白だよ」
声を殺し、ぎりぎり雑渡に聞こえない声で続ける柚太郎。
柚太郎「だって雑渡様、一度は兄様の妻にしようとしたんでしょ?兄様ならいいじゃない」
突然柚太郎の姿が傾き、その腕が後ろ手に捻り上げられる。高坂が鬼の形相で立っていた。
高坂「何をしている、柚太郎」
柚太郎「あ、兄様。いえ〜、ちょっと話してただけですよ」
高坂「Aの里入りは組頭が了承したものだ。それに文句をつけるなら忍軍に刃向かったものと見なすぞ」
柚太郎「やだなぁ、僕はAさんの里入りに反対なんてしてません。組頭の言うことは絶対ですから」
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みずけい - すごい…お上手ですね!絵も作品も設定も!とても面白いです。尊敬しちゃいます (1月6日 16時) (レス) @page26 id: 56c1fb1e39 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 涙さん» ああ!!すみません変換完全にミスりました!ありがとうございます! (2019年10月13日 19時) (レス) id: 31c0208f5b (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 92話祝元になってますよ? (2019年10月13日 19時) (レス) id: 5e09944bd4 (このIDを非表示/違反報告)
彼は誰時 - 最近、組頭に沼ったのですが…ここが楽園か……最高です!まったり更新待ってます! (2019年10月13日 19時) (レス) id: fd426a3898 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 名無し65455号さん» ありがとうございます!ミスってました直しときますね! (2019年9月17日 15時) (レス) id: 14131fd91c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乾 巽 | 作成日時:2019年8月17日 11時