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A「留三郎がどうかしたんですか?」
雑渡「え?だってあの子、Aが逃げろって言ったのに残ってAを守ろうとしてたじゃない?あの時すでにAが奪っちゃってたんじゃない?」
A「何を」
雑渡「初恋」
真顔で言われ、思わず真顔のまま吹き出した。
雑渡「ちょ、何今の迫力ある吹き出し方?真顔で笑わないで、怖い」
A「留三郎は後輩ですよ。ちっちゃくて可愛い後輩です」
雑渡「わー残酷だ」
※五年後学園に雑渡さんのお供で来た時に成長した留三郎及び伊作達に、だいぶ驚き桃の木山椒の木だったのは後日談である。
雑渡「まぁ、10歳の子に負ける気は無いけど」
A「そりゃ、まぁ」
昆奈門様は私を大切にしてくれるし吃驚するほど甘いしこれ以上ないくらい愛してくれる。
冷静に考えてみても、好みと一致している。
・大事にしてくれる
・子供好き
・年上
・声がいい
………うん、子供の時からわりと現実的だったな。
雑渡「あの子達から見たら先輩が曲者の奥さんになってるって複雑そうだね」
A「ややこしい上に面倒の予感がするのでやっぱり結婚のこと黙ってていいですか」
雑渡「んー、でもちょっと自慢してみたい気もするような……」
子供みたいに、と呆れ半分なところにほとほと呆れた、というような声が口をさした。
山本「21も年下の子供相手に何を張り合う気ですか。A、組頭が呼んでいた、すぐに行きなさい」
山本さんだ。
なんだろう。
A「はい、すぐに」
昆奈門様に「では失礼します」と言ってから屋敷に走っていった。
美弥さん達がお湯を沸かしている横を通って座敷に向かう。
A「失礼します薄氷です。組頭、お呼びですか」
組頭「入れ。渡すものがあってな。
時に、お前は医術に長けると聞いているが、“これ”が何か分かるか?」
紙に包まれた何かが差し出され、そっと開けてみる。
見慣れたものだった。
A「……ケシの実です。麻酔などに使われる高級薬品です」
組頭「そうだ。ではこれは?」
もう一つ渡されたのは粉のようなものがはいった小箱だった。さらさらと聞こえる箱をそっと開ける。
(白い、粉。白粉、じゃない。米粉(こめのこ)でも小麦粉でもない。さりさりしてる)
組頭「吸い込まないように気をつけろ」
A「はい、………あ」
組頭「分かったか?」
A「実物を見るのは初めてなので確証はありませんが、阿芙蓉(あふよう)では」
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みずけい - すごい…お上手ですね!絵も作品も設定も!とても面白いです。尊敬しちゃいます (1月6日 16時) (レス) @page26 id: 56c1fb1e39 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 涙さん» ああ!!すみません変換完全にミスりました!ありがとうございます! (2019年10月13日 19時) (レス) id: 31c0208f5b (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 92話祝元になってますよ? (2019年10月13日 19時) (レス) id: 5e09944bd4 (このIDを非表示/違反報告)
彼は誰時 - 最近、組頭に沼ったのですが…ここが楽園か……最高です!まったり更新待ってます! (2019年10月13日 19時) (レス) id: fd426a3898 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 名無し65455号さん» ありがとうございます!ミスってました直しときますね! (2019年9月17日 15時) (レス) id: 14131fd91c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乾 巽 | 作成日時:2019年8月17日 11時