黄昏の契り２【忍たま乱太郎】【雑渡昆奈門】

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高坂「では、行ってまいります」
A「行ってきますね」
諸泉「行ってきます！」
雑渡「気をつけて行ってらっしゃい」


こくり、と頷いて岩戸の扉を開けて順番に入り、松明が点々と並ぶ洞窟を抜けて壁の取っ手を回す。
ぎりぎり軋みながら岩がずれ、光が差し込んだ。
素早くそこから抜け出すと背後で岩がしっかりと閉じた。
山を越え、橋を渡っていくとドクタケ領だ。
ドクタケ領の手前の森に入り、支度をする。


高坂「ではこれよりドクタケ領へ入る。変姿の術で、ドクタケの女中として忍び込むからな」


渡された女中の制服を受け取る。


諸泉「Aさんが見つけたことは私が高坂さんに報告します」
高坂「何を言ってる尊奈門。お前もだ。さっさと着替えろ」


三枚分用意された女中の制服を見て尊奈門君が仰天する。


諸泉「ええ？！私もですかっ？」
高坂「当たり前だ！！あと二日しかないんだから三人がかりで調査するしかないだろ！
城の中は女中の方が目立たない。飯運びで城の構造を知ることもできる。
分かったらとっとと着替えろ！」
諸泉「………はーい……」


ブツブツ言いながらも着付け終わった尊奈門君に化粧を施していく。


A「ちょっ、動かないで！」
諸泉「だってくすぐったいんですよ」


保湿用の軟膏を塗ってから白粉をはたき、首回りのつなぎ目にもはたく。
眉に溶いた炭を塗って形を整え、口に紅を差す。
目元にも薄くだけ粉の紅を馴染ませる。
髪を椿油で梳かしてから横で結い直し、簪をさせば完成だ。
大股開きで岩に座る尊奈門君に言う。


A「足閉じて」
諸泉「はい」
高坂「おお、いい感じに仕上がったな。黙って立っていれば見れんこともない。こら足閉じろ」
諸泉「気がつかないうちに開くんです！」
高坂「街の手習いで一緒だった三人が揃って城へ奉公しているという設定だ。
尊子、私のことは左子と呼べ」
諸泉「うえぇ………」


高坂さんは流石というか、様になっている。
艶やかな髪は首の後ろで結わえられ、白粉も濃すぎない。何度かんん、と喉を鳴らしてから高坂さんが口を開いた。


高坂「じゃ、行きましょうか。尊子(そんこ)、A」
諸泉「随分目つきの悪い女に見えますけど……本当に大丈夫なんですか？」
A「尊奈門君の仕草の方が問題。左子(さこ)さんは仕草も美人。
女装するときは自分が女だと思って行動しないと不自然」
高坂「行きますよ」
諸泉「……はい。左子さん」


うなだれた尊奈門君を連れ、領内に入った。

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