黄昏の契り２【忍たま乱太郎】【雑渡昆奈門】

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どんな城がこの里を落とせるのか。
落とせるはずもない。
改めてタソガレドキ忍軍の実力を実感した。


A「まぁ評判がいいわけじゃないけど……」
雑渡「なんか言った？」
A「特に何も」
雑渡「確かにうちの城は戦好きの悪名高い城だけど」
A「しっかり聞こえてるじゃないですか…。
安心してください、悪い城だ、いい城だとか子供じみた色眼鏡は捨てましたから。
結局正義も悪もないんですから」


そうだ、正義も悪も、なんの意味もない。
正義と悪じゃなくて、それぞれ守る者があるから争うし欲を満たしたいから争う。
そこに決まり切った善悪はなくて、誰でも鬼になるし仏にもなる。
特に何もしてなくても人は死ぬし不条理に殺される。


A「昆奈門様が私を必要としてくれる間はずっと従いますよ」
雑渡「それがたとえーーーー忍術学園と戦になっても？」
A「………そうなる予定でも？」
雑渡「いや。こちらとしても忍術学園の機嫌は損ねたくないしね。
もしもの話だよ」
A「もしそうなったとしたら、私はその時には生きていないでしょう。
殿に逆らってでも交戦を防ごうとしますから」


私は本当は臆病者だ。

大切な人を
失うことが怖いから、
失う前に命を手放したいと願っている。

大切な人を
殺すのが怖いから、
殺す前に殺されてやりたいと願っている。

大切な人がいない世界で
自分の為に生きることが怖いから、
置いていかれまいと生き急ぐ。

それは全て「逃げ」だと知っていて逃げ続ける。
家族を亡くしたような、孤独と喪失感を何より怖がっている。


雑渡「私の為に生きようとはしてくれないの？」
A「それができないから臆病者なんです。残されるのが怖いから」
雑渡「それは残念だね。私が死んだら、みたいなこと言えないじゃないか」
A「？」


どういうことだろう。


雑渡「だって、それって私が死ぬ時は一緒に戦って死んでくれるってことじゃない。
家で待ち続ける妻よりも、私は好きだよ。
大好きな人の隣で死ねるんだから」


しばらくして言葉の意味を理解した。

“置いていかない”
“死ぬまで隣にいてあげる”


雑渡「忍術学園と戦うことはないから心配いらないよ。
私はね、君の大切なものごと君を守りたいと思うくらい君のことが好きだから」


思わず感極まった瞬間に、話の腰を尊奈門君の声が躊躇なくへし折った。


諸泉「小頭！竹の数１００くらいでいいですか！」
雑渡「そんだけあればいいよ」

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