【rtrt】最前列に、君がいた。 (ページ3)

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始業式の日です。いよいよ今日から2年生です。私は今教室の扉の前にいます。

『はぁ～』

香坂くんはいつも清川たちと一緒に登校してるんだって。で、今日は清川がめっちゃ早く学校に来てくれているらしい私と香坂くんが二人で何か話せるようにだって。いいトコあるじゃん？

緊張するな・・・

ガラッ

扉を開ける。香坂くんは・・・いた。窓側から三番目の最前列。えーっと、私の席は・・・

『ぅわっ』

なんでだよ。私の席は窓際の一番後ろだった。このクラスには36人。横6×縦6で並んでいる。教室もそこそこ広いので一番後ろから一番前まではかなり遠い。サイアクだ。

席にショックを受けてしばらくフリーズしてる間に人がどんどんやってきた。

あ、結局まだ一言も話してないじゃんか！香坂くんはずっと本を読んでいた。

ちょっと人が来ちゃったから話しづらいな。

また後にしよ。

始業式が終わり、教材も配られて休み時間。次は集会。今度こそは、と思って本を読んでいる香坂くんの方に向かおうとしたら清川に呼ばれた。無視してしまおうかと思ったが優しい私は一度だけ舌打ちをして後ろの扉まで行ってあげた。

『何だよ』

せっかく香坂くんに話しかけようとしてたのに・・・とは言わないでおいた。うるさそうだし。
・・・あれ？

『牛沢は？一緒にいないじゃん』

清「あっち。レトさんと話してるよ」

『ふーん』

見ると牛沢が教室の中に入って香坂くんと話していた。香坂くん楽しそう。まあこっちから見えるのは牛沢のアホみたいな顔だけなんだけどね。

清「そういやお前、席どこだよ」

『あれだよ』

嘘をつく必要はなかったので普通にさっきまで座っていた自分の席を指した。香坂くんのいる席とは全然違う場所にある席。

清「はーん・・・あー・・・んー・・・まあ、ドンマイ」

清川は香坂くんの席と私の席を交互に見たあと笑ってそう言った。

『先生がさ、席替えは、夏休み前後ぐらいにやるって。ほんっとにツイてないよね。お前とは最初っから隣だったのに。』

ちょっと愚痴るように言った。こいつはなんでもちゃんと聞いてくれるから話しやすい。
そんな感じでちょっと話してたら清川を呼ぶ声が聞こえた。そうか、次集会だっけか。

清川は「じゃあな」と言って去っていった。去ったと言っても隣のクラスだけど。