203 ページ11
◇
「この冬季休暇は、まだ行ったことがない南の地域へ調査範囲を広げようと思ってるんです。私、とっても真面目なので」
「学園長……！！」
「調査に向かう格好じゃない気がするけど……」
「そうだそうだ！ユウ、騙されんじゃねぇゾ！思う存分休暇を満喫する気なんだゾ！」
あれはリドルのタルト事件の頃、ユウは図書館で一度学園長に騙されたことがある。
確か、あの時は誰よりも早く小説を借りるために図書館にいたのに帰る方法を探していたと言っていたか。
「なにを仰います。南の国ではこれが正装。郷に入っては郷に従え。冬の寒さを逃れ、南国で穏やかな海を眺めつつハンモックでココナッツジュースを飲む……。そんな優雅なバケーションを満喫しようなんてちっとも思っていませんとも、ええ」
「な、なんて具体的な言い訳だ……！！」
「やっぱり今回も騙されてたっ！！」
「オマエだけずりーんだゾ！オレ様たちも連れてけ〜！」
「えぇ？それでは楽しい休暇が台無し……ゴホン！」
『学園長先生、私のおばあちゃんも南の国に旅行に行くみたいです』
「おや、そうなんですか？もしかしたらお会いするかもしれませんね。やはり寒い冬には暖かい南国で過ごすに限ります」
再び騙されていたユウは膝をついて悔しそうにしていた。
そんなユウをデュースが慰めている。
「君らを連れて行くには危険な調査になりそうですから、ここは私が1人で向かいます。それに、君たちには学園に残り重要な任務にあたって欲しいのです。ナイトレイブンカレッジの存続に関わるとても重要な任務です」
「学園の存続って？」
「ゴホン。この学園の食堂や暖炉の火は全て火の妖精の魔法によって賄われています。彼らは長年、大食堂の暖炉に住み着いているのですが…。毎日よく乾燥した薪を与えなければ消えてしまうのです。火の妖精がいなくなれば、学園は冬のたびに凍えるような寒さに包まれることになります。ね？学園の存続に関わることでしょう」
「そういえば、エアコンもないのに学園内はいつも暖かいと思ってた」
「やっぱ魔法だったんだ」
言われてみれば冬に外が寒いのは当たり前だが、教室内や寮内は暖かかった。
自分たちの知らないところで妖精が頑張ってくれていたようだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1369人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ここ(プロフ) - ガムテープ(主食)さん» お返事が遅くなってしまってすみません💦本編だけでももう700話は超えてました^_^短編集を入れるとさらにとんでもない話数という…。たくさんのあたたかい応援のおかげでここまで頑張ってこられました✨いつもありがとうございます(*^_^*) (2021年10月8日 12時) (
レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
ガムテープ(主食) - 今はもう通算500話はいってるんですよね‥！こんな続いてる話、中々ないんじゃないんですかね‥！きっとこの作品が素晴らしいのは作者様が素晴らしいからですね！これだけはきっと誰も否定しないと思います！4章楽しみです！ (2021年10月6日 18時) (レス) @page8 id: b67168fa9e (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - Alice_Liviloveさん» コメントありがとうございます^ ^ゴーストマリッジのお話はRe:start�靴�104話以降になります(*^_^*)よろしくお願いします^ ^ (2021年4月8日 18時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
Alice_Livilove(プロフ) - 更新お疲れ様です。ゴーストマリッジのお話ってありませんでしたか？（他の作品も読んでいてハッキリ覚えていないのですが、、）ありましたら、何話か教えていただけないでしょうか？？ (2021年4月8日 15時) (レス) id: 9f1bdc28b4 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - あーちゃん！さん» 一気読みしてくれてありがとうございます^_^カリムくんとジャミルくん、良いコンビですよね。ジャミルくんのお母さん感が強くて好きです。目の腫れ、落ち着いてきました！ご心配をおかけしてすみません…！ (2020年11月8日 18時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ここ
| 作成日時：2020年10月18日 7時
