◇ ページ20
◇
「ん？ カリムの声？ いや、幻聴か……。あいつには学園長と大人しくしているように言い聞かせたはずだ」
校舎に響くカリムの叫び声にジャミルは反応するも、こんなところにカリムがいるはずはないと目を瞑り、頭を小さく振る。
だが、ジャミルの横にいたデュースは見てしまった。
ゴーストに追いかけられ、逃げ回っているカリムの姿を。
「あの、バイパー先輩……。それ、幻聴じゃないと思います……」
「よせ、デュース。これは幻聴だ。あそこで馬鹿みたいな数のゴーストから逃げているのがカリムなはずは…………って、カリム！？ なんでここにいるんだ！？」
「ジャミルっ！ 悪いっ、来ちまった！ 助けてくれ〜！」
「待ってろ、すぐに行く！ リドル、すまない。俺はカリムを助けて合流する、先に進んでいてくれ」
「それは構わないけれど……キミも苦労するね」
遠ざかっていくカリムを追いかけてジャミルは走っていく。
その後ろ姿をジャミルの苦労を知っている者たちは同情の目を向けながらも、先に進むのだった。
◇◆◇◆
「Aくん、止まって」
『……！』
メインストリートに続く扉を目指すAは、先を歩くルークの足が止まったことで同じく足を止めた。
しっ、と唇に人差し指を添えるルークにAは頷く。
「Aはまだ見つからんのか！？」
「花嫁を探しているのですが、侵入者が多く……そちらに人数をとられている状態です」
「……ん？ そこに隠れておるのは誰じゃ？」
『……っ』
ばあやは何か気配を感じたのかAとルークが隠れている壁に目を向け、誰かがいる、と確信したばあやはふわふわと浮いたまま、こちらに近づいてくる。
ルークはAの耳に口を寄せ、小声で語りかける。
「Aくん、あのゴーストからは只者ではない気配を感じる。私が相手をしている間に、ヴィルたちの元へ向かうんだ」
『ルーク先輩……』
「私なら大丈夫さ、必ず君の元へ戻ってみせるよ」
『……はいっ』
Aが頷くと、ルークは微笑み、ばあやの前に立ち塞がる。
「こんばんは、美しいマダム。私のご相手をお願いしてもよろしいかな？」
▶
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 587人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ここ(プロフ) - 蘭さん» 蘭さん、コメントありがとうございます！いえいえっ、読んでいただけているだけでとても嬉しいですっ(*^_^*)蘭さんに楽しんでいただけるような色んなお話を書いていきたいと思っております^ ^ (2021年7月27日 9時) (
レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 本当にいいお話ばかり書かれてて癒されます…！！占ツクではなかなかコメントできなくて申し訳ないです(；ω；)でも、本編と一緒に毎日読んでます！いつも更新お疲れ様です！！(*^^*) (2021年7月27日 1時) (レス) id: abaf78baee (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 翡翠さん» 私の事情で突然の決定、申し訳ございません…！たくさんのリクエストをありがとうございました^ ^今のところ再開は考えていませんが、余裕ができましたらまた再開をするかもしれません、その時はまたよろしくお願いいたします^ ^ (2021年7月18日 19時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - honeyさん» honeyさん、ご理解くださいましてありがとうございます…！私もリクエストを書かせていただけて楽しかったです、ありがとうございました^ ^ (2021年7月18日 19時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - リクエスト完全停止ですね…寂しいけど、今までいっぱいリクエストできて楽しかったです！ (2021年7月18日 8時) (レス) id: 98fb8e60a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ここ
| 作成日時：2021年6月24日 13時
