1:シングルマザー ページ2
7年ほど、前のことです。
私はシングルマザーで、娘と2人で暮らしていました。
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･
〈ﾋﾟｰﾝﾎﾟｰﾝ〉
「はーい」
？「お届け物です。印鑑かサインを頂けますか？」
その日、家で娘とテレビを見ていると、
いきなり荷物が届きました。
注文した覚えも、誰かから送られる覚えもない。
「誰からだろう…」
配達員さんから荷物を受け取った私は
ある異変に気づきました。
「あれ？これ、差出人も何も書いてないですけど…」
そう、配達員さんに言った時です。
？「黙って。じゃないと…どうなるか分かるよね？」
腹部には鋭く光る刃物が。
一瞬の出来事でした。
恐怖で声も出ない私。
まだその状況が分からない、小さな娘は
健気に声をかけてきました。
娘「ママー、何してるのー？」
こっちに来たらダメ！
そう、強く思うものの、刃物に怯え、
娘に声をかけることすら出来ませんでした。
走った娘は部屋の少しの段差に躓き、
大声で泣きだしました。
娘「あっ…うわあああん！」
？「ちょっと何…？」
？「はぁ……萎えちゃったよ…」
そう言うと配達員さん…いや、犯人は、
娘を掴み、窓から落としたのです。
「ちょ、ここ4階……！」
思わずそう叫びました。
？「だから黙ってろって言ったのに…あー、うぜ」
「……え？」
気づくと腹部からは生暖かい液体が。
「あ……ぁ…」
？「もうちょっと黙ってろよ？大丈夫、ドラマとか映画でも少々腹刺されただけじゃ死なねーから」
「……あっ…うっ……」
犯人は私を汚し、しばらくするとどこかへ去っていきました。
私は腹部を刺されただけで済みましたが、
生憎、まだ小さく、4階という高さから落とされた娘は…即ﾀﾋでした。
･
･
「私の中に残された液体が証拠となり、アイツは捕まりました」
「でも……当時アイツは未成年で、大した罪に問われなかったんです」
「そして去年…あいつは自由の身となりました」
「あの子はﾀﾋんだのに…あいつがのうのうと生きてるなんて許せない…」
「……この仕事は食ってくためにやってる訳やないんで、引き受けるかどうかは、まあ…俺の気分次第ってとこなんやけど」
「…毎日あの子の夢を見ます。泣き止まないあの子を必死にあやそうと手を伸ばすんですが、どうしても…届かない」
「あの子は今でも泣き続けてるんですよ、わいわいさん」
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作者名：りせっと | 作成日時：2019年10月20日 0時
