変装屋少女の愛され秘話本編【文スト】 (ページ3)

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第二十一話ページ3

Aside

「よォ」

気づくと、中也が任務から帰ってきていた。

「任務お疲れ様、中原」

周りには誰もいないけど、ここはマフィアの敷地内、誰に見られているかわからない。

だから、思わず中也と呼んでしまわないように気をつける。

「なんで任務って知ってんだよ」

中也はそう云いながら歩き始め、こっちだと云うように手招きする。

私も遅れないようについていく。

「さっき森さんが教えてくれた」

「なるほど。ってことはエリス嬢には見つかったんだな」

ククと笑われる。

「まぁね…、訓練後に遊ぼうだってさ。」

異能を使った後はまぁまぁバテてしまう。

太宰さんは特に異能力者で身長が高くて困る。

自分の体の格差が大きいほど疲れる。

「ほォ？じゃ、今回はほどほどにしとかねェとな」

おちょくるような目で見てくる。

「あ、そう云えば少し前にAに着せたい和服があるとかどうとかって姐さんが云ってたぜ」

こ、これは姐さんにも捕まる予感…。

「…今日はお手柔らかに頼むよ…」

「それはA次第だな」

ニイっと笑う中也の顔に、私は意地悪だなぁと返した。

訓練部屋、とされている部屋へ入る。

この部屋、暗くて薄気味悪いんだよねぇ……。

だからなるべく中也を視界に入れるようにする。

「汚濁が此処で使えれば早いんだけどなァ…」

中也の汚濁を使えば、ポートマフィアの拠点自体消えてしまう。

「てか、汚濁の訓練ってどうすればいいの？」

「、手前が云ったんじゃねえか！」

どうやら中也もわからないらしい。

…其れは困った。

いつもは変装の依頼で、その変装相手が異能力者だった場合、その異能の性能を調べるために“訓練”と称している。

今回は汚濁を止めるタイミングの云わば“練習”なのだ。

「ハァ…とりあえず、今の太宰の野郎になってみろ。何か変わってるだろ」

この前の織田さんになって太宰さんを呼び寄せたときに、バッチリと目を合わせている。

目を合わせると、対象の意識や記憶、思考などもインプットされるため、太宰さんの何らかの成長がわかるはず。

「わかった」

頷き、少し中也から離れる。

いや、別に離れる無くてもいいんだけどさ。

「異能力、身代わりの儀者」

光に包まれ、私の思考は太宰さんと一体化する。

「やっぱAだとわかっていても、殴りたくなる…」

中也は拳を強く握る。

「やめて！？」

そう叫ぶと、太宰さんをの声に反応したのか、無言で更に強く握りしめた。

ヒィッ殺される…！