心の檻 ページ35
あの一件以来
Aに話しかける人はいなくなった
話しかけようとしてもすぐに消え
人から避けるようにAは生活した
今までずっと交流を続けていた医師や庭師とも
顔を合わせることなない
機械技師が懸命に毎日Aの部屋の前で
語りかけるも応答はない
男性陣は一部を除き今までと変わらず生活を送った
女性陣は悲しみ、ただひたすらにAと話すことを
願った
機「あのね！それでさっきの試合で、
美智子が優鬼してくれたの！
美智子もねAと話したいって言ってたよ〜
……Aが僕達のことをよく思ってなくても
少なくとも女の子たち皆はAのこと好きだよ！」
試合帰りにAの部屋の前で語りかける機械技師に
傭兵が顔を顰めた
機「A……また話したいよ
話せなくても側にいてくれるだけでいいから…」
「……」
機械技師の願いは空気と共に飽和した
ドンドンドンｯ ドンドンドンｯ
傭「なあ居んだろ？聞こえてんだろ？
なんで出てこねぇんだよ！全部知ってるんだろ！？
トレイシーの言葉も！！エマの泣き声も！！！
俺のこの声も！！！！」
必死に扉の向こうにいるAに傭兵は語りかけた
傭「お前が部屋に籠ってナイエルさんも！！
ジルマンさんも！！他の奴らだって悲しんでる！！
お前がいないだけでこの荘園は静かなんだよ！！！
お前はｯ！！必要とされてんだよｯ！！！」
扉にもたれかかって座っているAには
扉を叩く強さでどれ程必死なのかも
傭兵がどんな思いでいるのかも痛い程に伝わる
それでも
「それでも………………もう無理なんだよ」
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作者名：野生の王者 | 作成日時：2020年7月31日 20時
