信じるから ページ24
調「私は、解読も早い方ではないし
治療にかかる時間だって長いわ…
試合において足を引っ張ることが多い」
いつも強気で上品な彼女の心情が初めて現れた
調「救助してもらっても、香水を振るタイミングを
間違えればまたすぐに吊られてしまう
けどね、もう辞めてしまいたいって諦めかけた時に
必ず貴方が助けに来てくれる」
Aの目を見て話す調香師の顔はとても真剣だ
調「私はいつも貴方に救われてる
貴方はそんなつもりないんでしょうけど
私にとって貴方はヒーローのようなものよ」
「ヒーロー……」
試合では引き分け以上を残さないと
いい成績は残らない
その為には協力をしなければいけない
ロケットチェアに括られた人を助け治療し共に逃げる
暗号解読をしてタイミングを狙って逃げる
自分のための行動がいつの間にか
誰かを救っていたのだ
知らないうちに人を救って慕われるようになっていた
「ナイエルさんにはナイエルさんだけの価値がある
試合を共にする時、貴方は必ず声をかけてくれた
負傷した時は遠くにいても駆けつけてくれる
ナイエルさんが努力をしているのは皆知ってる
ここにいる人は貴方を弱いだなんて
お荷物だなんて思わない
だからナイエルさん自身を信じて
貴方が捕まった時はまた助けに行く
貴方を信じて地面を蹴る」
Aの言葉を聞いて調香師は涙した
自分がいつも救われていた相手は自分を信じてくれた
自分を信じて、走ってくれると言った
ただそれだけのことがとてつもなく嬉しい
自分はまだ頑張れると思えるのだ
調「ありがとう！私も貴方を信じて駆け回るわ」
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作者名：野生の王者 | 作成日時：2020年7月31日 20時
