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「ええ加減にせいっ!もう十分飲んだやろが」
「うぐっ!!!」
げしっと手刀が赤毛の頭に直撃し、やっと牙が少女の肩から離れる。
Aが気を失ってから数分後、未だなお血を飲み続けていた坂田を、センラが引き剥がしたのだ。
「あ、ちょっと飲み過ぎた?」
「ちょっと、じゃなくて完全に飲み過ぎだ」
「これ止血せんとアカンなぁ…結構飲んどったし、死んじゃいますよ」
「あちゃー。ごめん!」
額の前で両手を合わせた坂田を見て、呆れながらも、うらたは「気をつけろよ〜」とだけ呟く。その横で志麻がAを抱き上げた。
「こいつ部屋に連れてっとくわ。このまま、ここに置いてたらマズいやろ」
「お、まーしぃサンキューっ!」
「珍しいねぇ、何何?そいつ気に入ったの?」
「うん、足良さそうだし」
「結局、足目当てかよっ!!」
「ははは……志麻くんらしいわ。手当てせんといけんし、僕も一緒に行きます」
「おー、助かるわ」
ツカツカと去っていく紫と黄を見送った。血の匂いがヤバイだの何だの言ってはいたが、あのセンラの事だから大丈夫だろう
「そういや、味どうだった?」
「めっちゃうまかった!!!!!口の中がブァアアアって!!!」
「ブァアアアアじゃ分かんねーよ!」
「うーん……プァアアア?」
「いや形容詞を使え形容詞を!」
「美味しい」
「……そ、そう」
天然なのか、アホなのか同じ説明を繰り返す坂田に、うらたは苦笑しながら頷いた。
左目の下の雫を摩りながら、ストロベリームーンの浮かぶ空を見る。今年のハロウィンは例年と違う何かを感じて、胸がざわめいた
(今宵は、長くなりそうだ…)
◈◈◈◈
「最初の吸血が坂田って、不運なやつやなぁ…」
止血され、ベットに横たわる少女を見て呟いた。坂田の飲みっぷりは凄まじく、時に人間を吸い殺す事もある
「仕方がないでしょ。坂田は元々理性が弱いし、この子の血の匂いも濃かったから、止まんなくなりますわ」
「おん、かなりがっついとったし」
「相当痛いやろなぁ……でも逆にしっかり麻酔が入ったんやないですか?2回目からは平気やと思いますけど」
「……そやな」
口数が少なく何処かボンヤリとしている志麻を不思議に思ったが、センラは特に尋ねはしなかった。
「じゃ、後は頼むわ」
「ん、起きたら皆に知らせます」
「りょーかい」
現実と非現実の入り混じった今宵が
この物語のほんの序章でしかない事を
まだ、誰も知らない___
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。りうむ 。 - そうなんですね(´∀`*) 覚えていてくださって嬉しいです!(>ω<*) (2020年5月12日 23時) (レス) id: a1d0ac6eed (このIDを非表示/違反報告)
ユン(プロフ) - 。りうむ 。さん» あぁっ、りうむさん!!前作に引き続き、コメント、そして応援までありがとうございます!!そう言って貰えて嬉しいです!ちょっと張り切って作ってみました笑笑 (2020年5月12日 0時) (レス) id: ca6f64574e (このIDを非表示/違反報告)
。りうむ 。 - 1ゲームごとの画像を細かくつくっていてすごいですね!!(語彙力がなくてすみません(>< )) 応援してます!!(´ω`*) (2020年5月12日 0時) (レス) id: a1d0ac6eed (このIDを非表示/違反報告)
ユン(プロフ) - 紅灯-あかり-@crewさん» コメント、ありがとうございます!そう言って頂けてすごく嬉しいです(≧∇≦)これから志麻さんが大活躍(?)する予定なので、良かったら見に来てやってください笑 何時でもお待ちしてます! (2020年4月28日 21時) (レス) id: ca6f64574e (このIDを非表示/違反報告)
紅灯-あかり-@crew(プロフ) - 初コメ、一コメ失礼します!あ、すきです。志麻くんに首絞められるの見てゾクゾクしちゃった自分がキモくて怖いです(震え声)何時も見てます!更新頑張ってくださいね! (2020年4月28日 0時) (レス) id: 7ac7f90b4f (このIDを非表示/違反報告)
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