Nを待って

待ち人 ページ1

ポカポカと温かいあの日、
ワイミーズハウスの子ども達は、楽しそうに、遊んでいた。


　「ねー先生ー？
　 先生、『想い人』ってなーに？」

　「………好きな人ってことかな？
　 友達とはまた違う感じの
　 自分が、大切にしたいと思う人かな」


　先生と呼ばれている、18歳の少女は答えた。


　「ふーん……
　 じゃあ、A先生にはいる？
　 想い人」

　「想い人………………？」

　「うん、先生の想い人！」

　「……………」

　「先生？」

　「いない…………かな……
　 いるかもしれないけど、今は……ね」

　「そーなの？？」

　「うん。
　 さぁ、外で遊んでおいで。待ってるよ？」


その小さな子どもは、にこりと笑い、去った。




　「いないのかな……」


　静かな部屋の中で、18歳の少女はつぶやいた


　本名は、ネリネ。

　イニシャルはＮ。


　このワイミーズハウスには、
　彼女ともう1人、Ｎのイニシャルを
　もつ少年がいた。



　彼はもう、ここにはいない。


　ＮのAこと、ネリネは、
　想い人を待つ、待ち人。



　彼はもう、この世にもいないかもしれない。



　「ニア………」


　Aは寂しさと不安で、
　膝に顔をうずめ、彼の名を呼んだ。




　 救世主キラとやらの出現から、
　 早、約6年。


　ニアと私が離れて、もう、４年程経つのだ。

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