《31》 ページ32
_
━━━ 宮近side ━━━
一緒に出ると変に思われるかと思って、
Aさんには先に店に向かってもらった。
彼女が出た数分後にはオフィスを出たけど、会社の出入口で1週間ぶりくらいの二人の姿を見つけた。
向こうも同じくらいのタイミングで俺に気付いた。
中村「お、ちゃかじゃん！」
松倉「え？…あ！ちゃか〜！」
笑顔で手を振ってくる松倉と、横で片手を挙げるだけの海人。
宮近「…久しぶり、」
松倉「昨日まで忙しかったんだよな！
どうだった？プレゼン会議は、」
宮近「あー、うん。まぁ何とか…って感じ」
中村「Aちゃんも同じ様な事してたんだろ？」
海人の口から出たAさんの話題。
コイツにはちゃんと話しておかないと、そう思ってはいるけど。
海人と同じ人を好きになった、なんて。
なかなか言いづらい。
松倉「今からお疲れさま会しようぜ！」
宮近「…あー、わり。今日は用事あって」
中村「え、なになに！彼女！？」
宮近「ばっか、ちげーよ笑」
中村「なんだ、違うのかー」
がっかりしながら言う海人の言葉に少しドキッとして。
別に悪い事をしてるわけじゃないけど。
後ろめたい気持ちも少なからずあって。
ふと左腕に着けている時計に目をやると、すでにAさんが会社を出てから20分以上経っていた。
宮近「ごめん、そろそろ行くわ」
松倉「おう！またな！」
少し遅くなってしまった分、彼女の待つ店まで急いだ。
.
店に入ってすぐAさんの姿を見つけた。
少し息を整えて。
宮近「……お待たせ、」
『…あ、宮近くん！お疲れさまです！』
迎えてくれた笑顔のAさん。
向かい側に座ると、随分前に着いているはずなのに何も並んでいないテーブル。
宮近「先に何か頼んでおけば良かったのに」
『宮近くんが来てから一緒に…と思って笑』
少し照れた様に笑う君が。
可愛いな。
あー、好きだなーって。
自覚した途端、彼女の一挙一動が愛おしく感じる。
宮近「ありがと、…よし、じゃあ頼も！何飲む？」
『とりあえず生で！』
宮近「ふは、了解。笑」
『え、何で笑うんですか！？』
大きく目を見開いて驚いた様な表情。
やっぱり可愛い。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 916人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れおな | 作成日時：2020年12月10日 6時
