36回裏 ページ24
キーンと響いた耳が痛む
いつかはこんな日が来るとは思ってはいたが、こんなバレ方をするとは思ってなかった
「…ごめん、皆騒がせた」
「な、成宮、今のは…？」
「あー、従兄妹！…最近忙しくて連絡とってなくて、野球部に入ったの言ってなかったから拗ねちゃった」
スピーカーにしていなかったのに青心寮の食堂中に響いた鳴の声に驚いたゾノがおずおずと聞いてきたので答える
やっぱり拗ねたよなぁ、いつかは言わないとと思いながらもズルズルとここまで来た私が悪い
いやでも待って、私別に悪くなくない？やりたい事またやってるだけだし？あれ、文句言われる筋合いなくない？
「鳴、すげー怒ってたな」
「言うタイミング逃してたしね、しかも鳴を振った二人が揃ってるんだからこうもなるわ…」
その内機嫌取らなきゃなぁ、とか考えながらノートPCのキーボードに再度手を添えてから思い出した
「あ、私の予想通り、鳴は今年稲実のエースナンバー背負ってくるよ」
「…まじ？」
「ふふ、だから言ったでしょ？今年の稲実は強いよ、そして私たちが甲子園を目指すこの三年間、きっとずっと強い」
私のその言葉に一也はニヤリと笑った
「そーだな、予想通りだ、おもしれー」
「大丈夫だよ、私達もちゃんと強いから」
「当たり前だろ？こっちには勝利の女神ならぬ、勝利の女王様が付いてるからな」
「なにそれ強そう」
「おう、性格も口も野球もつえーよ」
鳴、私はまだ野球を続けるよ
そして鳴達を倒して夢の舞台へ行く
私の夢を叶えるために
「あ、てかお前全部言ったな？ふざけんなよ」
「なに？やましい事なんか無いでしょ？」
「普通に恥ずかしいだろーが！」
「真っ赤になった一也くんレアで可愛かったよ」
「あんなけ周りに囃し立てられたら誰でもそうなるだろ！」
「ふーん」
「ニヤニヤすんのやめてくんね？」
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作者名：とらお | 作成日時：2022年9月14日 23時
