page48、生い立ち ページ3
Aさんの語りです
私はあの屋敷の前に捨てられてた。かごに入れられて、側の手紙に「A」って書かれてたから私の名前はA。
それから2年経った時、エリーが産まれた。家族全員で喜んだ。
私が8才の頃生活が一変した。私が養子だと知らされた。その時はそこまで深く考えなかった。何と言われようと、今ここにいるのが私の家族なんだって、そう考えた。
だけど、それに追い打ちをかけるようにエリーが病気になった。もともと体が弱かったから風邪なんてしょっちゅうひいてた。その時もいつもの風邪だと思ってたら違った。
流行り病。両親はエリーに付きっきり。使用人も忙しくしてた。寂しくて仕方なかったけど、私を負担にさせるのは良くないから気にしないふりで過ごしてきた。「一人ぼっち」それが一番似合ってたと思う。
唯一私の面倒を見てくれたのがニナだった。合間でピアノも教えてくれた。
それからなんとか治療できたけど、随分弱ってた。これから回復していくのだと医者は言ったけど、駄目だった。
今度は肺を悪くして、あっという間にこの世を去った。
私はあの子に嫉妬していたのか、憎んでいたのか…。今はもう分からない。でも何で労りの言葉一つ掛けてやれなかったのか、それを後悔してる。
それから私は訓練兵に志願することを決意した。壁の外に行きたいっていうのは昔からだったし、何より…あの家から出たかった。
悲しみに暮れる両親を見ていて、何だかあの家に居ずらくなった。
でも両親に告げたら猛反対。そりゃそうだよね。家督やらの問題でも私は必要だし。1か月くらいその話題で揉めっぱなしだった。
折れない私に両親は条件を付けて許可した。結婚すること、帰ってくること。
生きて帰るのも大変だっていうのに「結婚」って…。本当に滅茶苦茶な条件だよ。まあ条件クリアできたけど。
くだらないこと引きずってると思うけど、頭から離れない。もう終わったことなのにあの頃が蔓延っている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
枝豆(プロフ) - いんこぷりんさん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけているとは…。とても嬉しいです。これからもこの小説をよろしくお願いします！ (2020年6月1日 22時) (
レス) id: d4fe53da6f (このIDを非表示/違反報告)
いんこぷりん(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます。お受験、枝豆さんにとって素敵な春を迎えられるよう祈ってます！コロナまだまだ怖いですがご自愛ください(^^) (2020年5月29日 1時) (レス) id: a01a78f710 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：枝豆の皮 | 作成日時：2020年5月6日 23時
